ブログ

スワミジの伝記 2-31(『Swamiji The Manifestation』より)

カテゴリー :

第2の周期(1954-1966) 若きスワミ 第31話

 その夏、干ばつが原因で、マイソールから約69キロの距離にある小さな村グンダルペトは食糧難に陥った。そんな中、政府の飢饉救援の責任者だったランガーヤは、奇跡を起こす力をもつガナパティ・スワミの話を噂に聞いた。村の人々を助けたい一心で、スワミを呼び、雨乞いのために犠牲の儀式を執り行ってもらうことを考えた。地域をまとめる長老のひとりH.S.ラマナはランガーヤの希望に共感し、重病を患ってマイソールの病院に入院している義理の息子を訪ねる予定があったため、ラマナは代わりにスワミへ会いにいくことを買って出た。
 ケセアに到着したラマナは、すぐにガナパティ・スワミと話すことはしなかった。その代わりに、来てから数日間は、若きスワミが行うことすべてを、ただ観察していた。あらゆるプージャ、ホーマ、サットサンガを注意して見ていた。そして、スワミが神像、ヴィブーティ、砂糖菓子を物質化するのを目撃した。最も重要なことには、悩んだ様子でやってきた人々が、スワミの優しさに触れたおかげで、去るときは幸せそうにしているのを目撃したことだった。
 5日目、スワミはラマナを呼んで尋ねた。「ラマナ、この数日、あなたはずっと何をやってきたのですか?」
「私はじっと、あなたのお仕事を観察し、考察してきました、師よ」と彼は答えた。「そして、心からあなたのことをお慕いするようになりました。あなたは偉大で尊い方です」
 ラマナはガナパティ・スワミの前にひれ伏し、敬意を表した。
「私もあなたを大切に思います、ラマナ」と、スワミは笑顔を返した。「私は自分で調べようとする人々だけを必要としています。誰かを師として認める前に、人は徹底的に検討すべきなのです。そのことに、なんの問題もありません。しかし、一度誰かをグルとして受け入れたなら、それ以上自分の師を試すことはできず、勝手に関係を解消する権利もないのです。しかしながら、自分が受け入れさえすれば、その人物が必ずあなたのグルになるわけではないということを、理解する必要があります。自分が弟子であることを、グルに認めてもらわなければならないのです。あなたと同様に、グルにも受け入れる権利があるからです。あなたのことを慎重に観察し、あなたの価値を見極めた上で、グルはあなたを弟子として受け入れるのです。グルの方もあなたを受け入れて初めて、彼はあなたのグルとなります。そして、あなたは彼の弟子となるのです。よって、もし誰かをあなたの師として受け入れたのなら、まず、あなた自身を師に受け入れてもらわなければなりません」
「自身の達成度や、前進するためにどれほどの努力を払わねばならないか、自分ではわからなくても、あなたのグルにはそれがわかります」と、ガナパティ・スワミは語った。「満足したときのみ、彼はあなたを受け入れます。彼があなたを受け入れて初めて、あなたは弟子としての地位を真に得られるのです。これが本当の、グル・シシュヤ(師匠・弟子)の師弟関係です。これを理解しない人々もいます。誰かがちょっとした驚異を見せると、そうした人々は敬意をもってその人物の足元にひれ伏し、グルと呼んで彼を慕うようになるのです! しかし時が過ぎ、より大きな力をもつ人物を見つけると、最初のグルのもとを去ります。こうした人々は、2回見捨てられることになります。最初のグルがまず彼らを遠ざけるようになり、その後すぐ、他のグルたちも彼らを自分たちに近寄らせないようにするからです」
「ある人物の偉大さを目にすると圧倒され、心のバランスを失う人々もいます。彼らはその人物に従い、グルと呼ぶようになるのです! しかし、こうした狭量な人々の心のなかには、グルが遵守すべき行動規範が存在します。ごく稀に、彼らの規範に背くように見える行為を、グルがとることがあります。すると、こうした帰依者たちは立腹して師から離れ、新たなグルを探し求めます。彼らはグルの軽蔑者となり、ひいては、罪人(堕落した人々)になるのです」
「自分たちが弟子でいることで、グルの栄光が増し、自分たちがグルを光と名声へ導いていると考える人々もいます」と、スワミは続けた。「自分たちの行いがグルを高みに押し上げると、彼らは信じ込んでいるのです。グルが偉大な人物であることを受け入れている一方で、その同じ心の中で、自分たちの自身の偉大さを固く信じているのです。彼らが行っているのは自己欺瞞です。彼らが償いを実現するのは難しいでしょう」
「こうした人々は弟子ではないのです、ラマナ」とスワミは言った。「彼らは見せかけの弟子、うわべだけの弟子です。世間には弟子として映ることでしょう。彼らも弟子を自負しています。しかしグルの目だけが、真の弟子ではないことをとらえています。こうした人々の心に宿る問題の根源はひとつ、奇跡に惹きつけられていることです。いわゆる“奇跡”は、取るに足らないものです。もし邪な人物がこれを行えば、それは堕落と残虐行為の手段にもなりうるのです。グルという言葉はシヴァ、吉祥なる者を意味します。シヴァの化身そのものであるグルを、ささいな奇跡で見つけ出せると考えるのは、愚かなことなのです」
「観察すべきは、奇跡そのものではありません」と、スワミははっきりと言った。「奇跡によって、何が起こるかを観察すべきなのです。それは、庭の成長を観察することに似ています。私たちはまず、小さな種を植えます。何の種だかよくわからず、何が芽を出すか、様子を見ます。数日経ってやっと、それがホーリーバジル(トゥルシー)か、不敬な大麻かがわかるのです。雑草を生やす種もあれば、聖なる植物となる種もあります。同じように、ある個人が示した力がまわりの人々をどう進化させるか、その目的は何かを、私たちは観察すべきなのです。重要なことはそれだけです。しかし、奇跡に興奮することは、重要ではありません」
「親愛なるラマナ」とスワミは続けた。「あらゆる存在に、神に授けられた心(ハート)があります。あなたは心を美しく保ち、その声を聞かねばなりません。欠点のない完全な心なら、サットヴァ・グナ(原初的本性の3つの気質のうち、最も純性なもの)が広がり、平安と喜びにあふれるでしょう。あなたのハートがシヴァ神の住処となり、あなたのグルが真におわすところとなるのです。よって、グルを探しているのなら、自身の心を吟味すべきです。実際、グルを考察することは、自分の心を考察することを意味します。グルを見つけるために用いるべきは、この観察法なのです。あなたは自分の心をまだ詳細に考察していないものの、もうよくわかっています。あなたは幸運です。あなたを考察せねばと伝えることなく、あなたのグルはもうあなたを呼んだのですから」
 翌日、ダルシャンに向かったラマナは、病気を患う義理の息子のため、スワミに祝福をお願いすることにしたものの、彼が口を開く前にスワミが制した。「わかっています」と、スワミは語った。「危険な病気ではありません。私の助けは不要です」
 ついにラマナは、託されてきた言葉を伝えることにし、干ばつを終わらせ、飢饉を和らげるために、自分たちの村に来て儀式を執り行っていただきたいと、ガナパティ・スワミに願い出た。スワミはこれに同意した。義理の息子が回復すると、ラマナはグンダルペトへ戻り、パールヴァティー(シヴァ神の配偶者)山の近くで犠牲の儀式を行うのに必要な手はずを整えはじめた。
 数日後、グンダルペトからケセアへ、スワミを村へ案内する小さな集団がやってきた。この旅をはじめとして、ガナパティ・スワミは訪問地でさまざまな行事を行うようになった。マイソールをあとにするとき、スワミは何人かの側近と共に、先頭の車に乗った。ジャーナキラーマ・マンディールでバジャンを歌った子どもたちや他の人々は、後ろに控える一連の車に乗った。グンダルペトに長く列をなした車が到着すると、小さな村は大騒ぎになった。ガーヤトリーの儀式、講義、ホーマのために、そして、偉大なヨーギを迎えるために、手の込んだ準備がなされていたものの、スワミの随行者たちがこれほど多いとは誰も予測していなかった。彼ら全員のための寝床と食べ物が必要だとは、誰も知らされていなかったため、予期していなかった追加ゲストの分の食べ物や飲み水はないと彼らは訴えた。
 一行が到着すると、スワミはパーダ・プージャのためラマナの家へ向かった。その後、次から次へとさまざまな家を訪れた。一日の終りになってやっと、スワミは自分が泊まる家へ案内されたものの、スワミの随行者たちに食べ物や飲み水を渡す者はひとりとしていなかった。
 状況を報告されたスワミは、怒りをあらわにした。「ここの段取りはどうなっているのですか?」とスワミは大声を上げた。そう言いながら、スワミは肩掛けを外し、壁に投げつけた。実際に何が起こったか誰もわからなかったが、スワミの肩掛けが壁に激しく打ちつけられたとき、何かが割れるような大きな音が聞こえた。スワミの怒りで壁が崩れ落ち、自分たちに降り掛かってくるのではないかと人々は恐れた。その音があまりにも大きかったため、何があったのかを確かめに、外にいた人たちも駆け寄ってきた。ちょうど近くにいた地元の役人全員が、スワミのもとへすぐやってきた。彼らが部屋に到着するやいなや、大量の砂糖菓子、ナツメヤシ、果実、アーモンド、ブドウの房が、壁の割れ目から溢れ出した。そして短時間のあいだに、大きな山が4つできた。村の警察官は驚愕した。他の人々も恐怖と畏敬に震え上がった。奇跡を見慣れているアシュラムの子どもたちですら、こんな光景は目にしたことがなく、誰もがこの現象を前に押し黙った。
「食べなさい!」とスワミは大声を上げた。「どうぞ、好きなだけ食べなさい。食べ終えたら、残りを人々に配るのです!」
 世話役たちは次第に、自分たちが失礼な態度をとっていたことに気づき始めた。すぐに彼らは長老たちと共にスワミの元へ行き、自分たちの行為を詫びた。そして、スワミの随行者たちのために食事の準備を始めた。
 翌日、儀式が始まった。最初の2日間がうまく進んだため、噂が広まり、より多くの人々が参加するようになった。女神パールヴァティー(シヴァ神の配偶者)の寺院は、小屋が点在する小規模な村の真ん中にある、小さな丘の頂上に位置していた。正午には、その小さな丘に大勢の人が群がり、まるで蟻塚にようになった。ホーマのあと、参列者全員に食事が配られると事前に告知していたため、世話役たちは心配しだした。
 世話役たちの心配をよそにスワミは落ち着いており、儀式の進行に合わせ、神の賛美のために歌い続けた。プールナーフティ(最後の供物)の時間が近づくと、暗い雲が空を覆い始め、すぐに雷鳴が聞こえ出した。天国が開いたかのように稲光が空を走ると、雨が降り出した。土砂降りでびしょ濡れになった農民たちは、喜びに踊りだした。スワミは幸せそうに歌い続けた。
 儀式を執り行ってから、これほど早く雨が降ろうとは、世話役たちは一切思ってもみなかった。しかしここで、新たな問題が生まれた。小さな日よけがあるだけの戸外に、炉を組んでいたのだ。激しい雨のせいで、一番重要なプールナーフティの瞬間に、炉の火が消えてしまう危険性が出てきた。儀式を執り行っていた祭司たちは、スワミが到着するまで、自分たちにも雨をもたらすことができなかったのに、彼に一体何ができようと嘲っていた。そんな彼らがスワミに、捧げ物を守ってほしいと訴えた。
「師よ、どうか儀式の火をお守りください!」と、司祭たちはスワミの足元で懇願した。
 すると、ものの数分で雨は止み、何物にも邪魔されることなく、プールナーフティは終了した。しかしながら、そこにいる人々全員のための食べ物をどうするかという問題が残っていた。
 世話役がガナパティ・スワミにもとへやってきて、耳元で囁いた。「師よ! これほど多くの人々のための食事は準備していません」
 すると今度は、スワミは穏やかに答えた。「彼らの胃にある飢えの火にも、捧げ物をしなければなりませんね? 食べ物を配り始めなさい」
 世話役のうち何人かは、帰依者の家で似たような状況を目撃しており、そこにはいつも十分な食べ物があったのを覚えていた。それでも彼らは自信がもてなかった。というのも、それほど大勢の人がいたのである。そこには腹をすかせた農民たちが何百人も集まっていた。食べ物を配るよう、まわりに指示を出しながらも、彼らの心臓は恐怖で高鳴った。
 すると、その場で働いていた人たちが、すべての人に行き渡るほどの水がないと報告してきた。世話役は再びスワミに近寄り、問題を告げた。ガナパティ・スワミは微笑み、寺院の横の岩場にある小さな水穴を見せた。そして、そこから水を汲むように指示した。こんな小さな水穴が助けになると信じているスワミの尊大な言葉に、世話役たちは衝撃を受けたが、スワミが言ったとおり、桶は水で溢れるようになった。その夜遅くまで、彼らは穴から水を汲み、桶を満たし続けた。その水を飲んだ人々は、ココナッツのような味がしたと語った。

続く

lucy-chian-34385

PAGE TOP