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スワミジの伝記 1-01 (『Swamiji The Manifestation』より)

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最初の周期(1942-1954) サティアナーラーヤナ第1話

 ジャヤラクシュミーが朝早く目覚めたとき、あたりはまだ暗かった。彼女はブラフマクンダ(ブラフマン[※1]の火を捧げる炉)へと急いでいた。1942年5月26日、インドの暦では、月の明るい2週間の11日目にあたる日だった。彼女は音を立てずに小屋を出て、銀色の月の光に照らされながら丘の道を登っていた。すでに目覚めていて家畜の世話をしていたランバニ(地元の部族)の女性たちがジャヤラクシュミーに気がつき、少し離れたところから若い妊婦である彼女の姿を追ってじっと見ていた。ジャヤラクシュミーは彼女の小さな村メクダトゥの光が小さくなっていくのを見ながら、この地域の特別な重要さについて思いを馳せていた。

 メクダトゥは南インドにある小さな村で、3つの小さな山に囲まれている。その3つの山はそれぞれに接して大きな三角形を作っている。この三角形のちょうど中心は3本の川の合流地点でもある。もっとも大きなコーヴェリー川は東へと流れていて、小さなアーカヴァティ川は南へ、そして隠されたグプタガミニ川は2つの川の地下を流れている。夏の時期、コーヴェリーとアーカヴァティの流れが静かで風も穏やかなとき、集中して耳を澄ますと地下を流れるグプタガミニのやさしい音を聞くことができる。自然は、自身そのものである聖なる形、スリ・チャクラ[※2]を形成していた。それは三角形が折重なった形で、中心にビンドゥ[※3]があり、聖なる母と、ありとあらゆる生命に彼女が存在していることを象徴する形だった。

 北の山と南の山の狭い隙間によって、渓谷の岩場深くにコーヴェリー川が流れていた。渓谷へ向かって1マイルほど行ったところに、ヤギのヒヅメを思わせる深い穴が岩場の壁に空いている。伝説によると、クリタユガ(ヒンドゥーの宇宙観のよる大いなる4つの時代の最初の時代)のときに、ブラフマリシ(ブラフマン、絶対性への認識をもった聖仙)たちが世界平和のためにブラフマシャトラと呼ばれる儀式を行うために、この渓谷へやってきていた。この地には呪いのために悪魔になってしまった半神チャンガラがうろついていた。チャンガラは呪いのために混乱していて、儀式を破壊しようとしていた。彼は巨大なヤギの姿をとったので、リシたちは彼であることに気がつかなかった。儀式を破壊するために、この姿でチャンガラは渓谷を渡る巨大な跳躍をした。しかし賢明なリシがチャンガラに気づき、儀式に捧げられた聖なる水をチャンガラにふりかけた。すると、巨大なヤギは川のなかに落ちて死んでしまった。このときにチャンガラが残したヒヅメのあとが、その岩壁の穴だといわれている。聖なる川に落ちて死んだときに、チャンガラの罪は完全に洗い流され、もともとの半神の状態に変容したのだった。この出来事によってこの地は「ヤギの跳躍」を意味するメクダトゥと呼ばれている。そしてメクダトゥのなかのこの場所は、大いなる犠牲の儀式がなされたのでフラフマクンダ(ブラフマンの火を捧げる炉)として知られているのだった。

 深い思いのなかで、ジャヤラクシュミーはブラフマクンダにつき、下の急流へむかって注意深く岩場の道を降りていった。それから川岸の大きな石に登り、瞑想の姿勢でその石に座った。岩壁に反射している月光と水の激しく流れる音は、彼女のマインドを絶対性へ溶け込ませることを助けた。物音がして彼女の瞑想はとぎれたが、まさにそのときは夜明けの日の出のときだった。目を開くと、彼女の膝にヴィブーティ(聖灰)に包まれた赤ん坊が乗っていた。ヴィブーティの甘い香りが渓谷を満たしていた。黄金のワイヤーで結ばれた2本のネックレスが赤ん坊の首にかかっていた。ひとつはルドラクシャ(シヴァに捧げられた木の種)でできていて、もうひとつはサリグラマ(ガンダクル川で形成される黒石でネパールでは日常的に礼拝されている)だった。川の流れは赤ん坊の足まできていて、ジャヤラクシュミーのサリーは腰のところまで濡れていた。彼女は疲れきっていて石に体を横たえた。ふと見上げると、ある音が聞こえてきた。それは彼女の母親がすすり泣く音だった。母親は渓谷の頂上に立っていた。年をとっていたので、危険な渓谷の川辺へ降りていくことができなかった。ランバニ族の女性たちがやってきて、ジャヤラクシュミーが登るのを助けてくれた。その助けのお陰で、若い彼女は母親のところへ行くことができた。村に戻るとジャヤラクシュミーと、彼女の赤ん坊は少し休息するために横になった。赤ん坊が地面につくと、首飾りは消えてなくなってしまった。

 ついにジャヤラクシュミーの母親、サヴィトランマが尋ねた。「いったいなにが起こったの? 誰がへそのおを切ったの?」
彼女の娘は知らなかった。「お母さん、説明なんて無理よ。結婚のとき以来、すべてはリシェーシュワラ[※5]の意志で起こっているのよ」と娘は言った。

「ああ、私の娘よ。その偉大な聖者があなたを守っているのなら、すべてはうまくいっているのね」とサヴィトランマは答えた。

 ジャヤラクシュミーの夫、ナラシンハ・シャストリは息子の誕生に喜び、子どもにサティアナーラーヤナという名前をつけた。彼はサティアナーラーヤナのヴラタ(原理)が好きだった。「サティア」は真実を表し、「ナーラーヤナ」はヴィシュヌの別名だった。しかし、その他にも意味があった。ナーラーヤナの語は、「ナーラ」と「アーヤーナ」の語を含んでいる。「ナーラ」のひとつの意味はジニャーナ(至高の英知)だった。「アーヤーナ」は、最終的な運命を表している。つまり、「ナーラーヤナ」は、「至高の英知のための究極の運命」を意味している。ナラシンハ・シャストリは息子がこれらの理を体現することを願って、その名前をつけたのだった。また、彼はサティアナーラーヤナの名前を繰り返し唱えるとモクシャ(最終的な解放)へいたると強く信じていたのだった。

 

※1 ブラフマー:創造神。シヴァ、ヴィシュヌとともに、ブラフマーはヒンドゥの三位一体となっている。
※2 スリ・チャクラ:スリ・チャクラは、宇宙全体に広がる聖なるエネルギーとして女神トリプラスンダリを象徴して崇拝するために使われる幾何学形。スリ・チャクラとのつながりでは、「チャクラ」はグループを意味し、人間の身体にあるセンターのことではない。しかし、人間の体のチャクラと、スリ・チャクラの九つの違った形には、明確な関係がある。
※3 ビンドゥ:点。すべての線と形態は点から始まるので、ヴィンドゥは明示されない宇宙を象徴している。
※4 シヴァ:吉祥のひとつなるもの。破壊と再生の性質をもった神。
※5 リシェーシュワラ:メクダトゥでは、リシェーシュワラ(至高の聖者)という偉大なリシ(聖者)がブラフマクンダをまばゆい光の形で動き回っていると信じられている。彼はヒンドゥーの三大神、ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァの形だとされている。しばしば主サンガメーシュワラとも呼ばれ、彼は三界の真の主である。

 

名前:Karthik Prabhu タイトル:Tip of Mekedatu 作品URL: http://theloapers.blogspot.jp/2012/02/47-mekedatu-sangama-16122011.html ライセンス:CC BY-SA 3.0

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