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スワミジの伝記 1-06-2 (『Swamiji The Manifestation』より)

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最初の周期(1942-1954) サティアナーラーヤナ第6話その2

ナラシンハ・シャストリがサティアナーラーヤナに暴力を振るったのは、このときだけではなかった。別の日、息子にひどく怒りを覚えた父親は、サティアナーラーヤナを激しく殴った。父親のあまりの仕打ちに絶えられず、サティアナーラーヤナは家から逃げ出した。母親は胸を痛め、涙ぐむが、ナラシンハ・シャストリは「どこへでも行けばいい! 死んでしまえばいいんだ!」と、ただ叫ぶのだった。

 暴力のことを聞きつけた村人たちが、サティアナーラーヤナの家の外に集まりだした。

「おじさん!」と村人たちは声を上げた。「息子さんが泣きながら、線路の方へ走っていったよ」

 それを聞いたナラシンハ・シャストリは心配になり、息子のあとを追った。幸運にも、サティアナーラーヤナに追いつくことができ、息子に手を伸ばして抱きしめた。

「お願いだ、家に帰ってきてくれ」と、父親は懇願した。「息子よ、もう二度と殴りはしないから」

 残念なことに、サティアナーラーヤナがまたも学校へ行くことを拒んだため、父親も約束を守らなかった。息子が学校へ行かずに小川で泳いでいるのを見かけた父親は、再び息子をひどく殴ったのだ。しかし今回は、サティアナーラーヤナも命がけの行動をとった。

 ナラシンハ・シャストリは村の祭司を務めるだけでなく、医者でもあり、薬を調合していた。さまざまな薬草、葉、種、鉱物、薬品が家の棚に溢れており、仕事で使う水銀、ヒ素などの毒もその隣に置いてあった。それぞれの原料がどんな目的で使われるか、ジャヤラクシュミーから教わっていたサティアナーラーヤナは、どれが危険物かも熟知していた。

 殴られた翌朝、サティアナーラーヤナは父親が調合した毒薬を一気に飲み干した。数分も経たないうちに少年の体は青く変色し、死の淵をさまよいだした。息子がなにをしでかしたか、情況を把握した父親は恐怖に怯えた。サティアナーラーヤナは、薬効が強すぎるため、わずかな量しか通常使用しない散薬が入った瓶を、いくつも飲み干していたのだ。息子が摂取した量の毒を中和できる解毒剤が存在しないことも、ナラシンハ・シャストリにはわかっていた。この気の毒なバラモンはすべての希望を失い、さめざめと泣きはじめた。そして、息子の命が救われるように祈った。ジャヤラクシュミーは目を閉じ、壁にもたれかかり、床に崩れ落ちてしまった。数時間が過ぎ、サティアナーラーヤナの身になにが起こったのか、噂が広まった。サティアナーラーヤナの最期を看取ろうと村中の人々がやってきて、悲しげな表情で、意識のない少年を黙って見つめた。しかしその午後、事態は一変した。サティアナーラーヤナの体の青紫色が少しずつ引き、もとの色に戻ったのだ。脈拍も安定しはじめ、少年が目覚めたときには、体はすっかり回復していた!

「祈りを捧げた神々が、息子を救ってくださったのだ」と、ナラシンハ・シャストリはうれしそうに語った。

 しかし、父親はそこで誓うのだった。「子どもたちがいる家に、こんな薬を置いておくのは危険だ。金輪際、医者の仕事はしないことにする」

 そう言ってすぐに家の裏に深い穴を掘り、すべての薬品と薬草を埋めた。その夜、ジャヤラクシュミーは今回の事件に関して、息子と話し合った。

「息子よ」と、彼女は語りかけた。「今回、自分を試して、成功しましたね。それでいいんです。でも、家長であるあなたの父親は、仕事をひとつ失いました。とはいえ、その結果はよかった。今後、医療に携わらないことにしたのは、いいことなのです。だから今回、このようなことが起こったのですから」

 母親の言葉を聞いたサティアナーラーヤナは、怖くなった。「お母さんは起こったことに対して、なにも心配していない」と、サティアナーラーヤナは考えた。「自分がしでかしたことなのに、その原因は自分にはないということになるんだろうか? 私の知らないところに誰かが存在し、私を行動に駆り立てているんだろうか? その何者かが私に行動をとらせているとき、私は、その者が求めるすべての行動を行う、道具のようなものなのか? そうなると、自分の行動の結果を、私はどうとらえればいいのだろう? いや、どうとらえるかは問題ではないのだ! 実際にもう、その者は存在しているのだから。使命を成功させることができ、私は幸せを感じた。でも、お母さんはどうして最後にあんなことを言ったんだろう? “だから今回、このようなことが起こった”? お母さんはどうして、誰がこのようなことを起こしたのか、教えてくれないんだろう?」

father
写真:スリ・スワミジの父ナラシンハ・シャストリ

続く

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