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スワミジの伝記 2-6(『Swamiji The Manifestation』より)

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第2の周期(1954-1966) 若きスワミ 第6話

サティアナーラーヤナの霊的実践が進むにつれ、その霊的能力が人目につくようになってきた。遊び友だちといるとき、彼がニームの葉を砂糖菓子に変えたり、みんなを楽しませようとなにかを物質化したり消したりすることがあった。友人の弟、チャンドルが犬に噛まれたとき、サティアナーラーヤナがその傷をヴィブーティ(聖灰)で治したこともあった。このころには、サティアナーラーヤナは頭のなかで音楽が聴こえるようになり、自分のマインドのなかで踊る音符から、独自の祈祷の曲を作りはじめた。それが上達すると、自尊心にとらわれそうになった。幸運なことに、彼はそこに危険を感じたし、彼のおばも、達成感に満足する感覚を彼から消し去ろうと心がけた。ときに、サティアナーラーヤナは内なる力を制御できず、恍惚状態に陥って気を失ってしまうことがあった。近所の人々は、彼がてんかんを患っており、適した医学的治療を受けていないと思っていた。ヴェーンカンマは近所の人たちにはそう思わせておくことにしたが、サティアナーラーヤナには「液体があふれているのなら、それは器が小さすぎるという意味です」と伝えた。よって少年は、自身の恍惚状態を制御する方法を習うようになった。

母親が亡くなって1年半が経つと、サティアナーラーヤナの霊的実践はこの段階にまで到達していた。霊的な仕事を始められるようになるまでに、12年間の修練が必要だと母親に言われたことを思い出した。この記憶により、小さな達成感から生まれる自尊心は抑えられた。そして、外の世界と、発展を続ける内なる幸福の板挟みに悩んだ。自分の霊的な力をより有意義に使うことに不安を覚え、まわりの人々が目に入るたびに苛立ち、混乱するようになった。そして、感覚器官の欲求に従っているから、あるいは持ちうる知性と力に限界があるため、人々は苦しんでいるんだということに、彼は気づいた。

「それは彼らのせいなのか?」と、サティアナーラーヤナは自問した。「この世界に正義はあるのか? 僕のような少年に、この問題に関して、なにができるというのだろう?」。サティアナーラーヤナは次々と自身に質問を投げかけた。「なぜお母さんは僕に12年待つ必要があると言ったのだろう?」と、彼は自分の心に問うたのだった。

ある朝、問いに対する答えを一切見いだせない自分に落ち込み、苛立ちを覚えたサティアナーラーヤナは、聖なる母へ祈りを捧げられる自分だけの場所を探そうと、村を飛び出した。森を歩いていると、ささやく声が頭に響いた。

「マーナサ湖に浸かってから、ここに戻りなさい」と、その声は言った。マーナサ湖は、シヴァ神の住まいであるヒマラヤのカイラス山の近くにある聖なる巡礼地で、サティアナーラーヤナが住んでいた村から遠く離れていた。聖なる母はこの聖なる湖で沐浴すると信じられていた。おばと妹のことは考えずに、サティアナーラーヤナは駅まで走っていき、北へ向かう最初の電車に飛び乗った。

サティアナーラーヤナは現金を持っておらず、捕まらないようにするために、最終的にデリーへ到着するまでのあいだ、何度も列車を乗り換えた。大都市で列車を降りたものの、彼にはどこへ行けばいいのか、マーナサ湖へたどりつくためになにをすればいいのか、なにもわからなかった。しかし、寛大な精神をもつ彼は、すぐに助けを得ることになる。駅を出て外の道を歩きはじめると、停めてある車を降りて道に出ようとする少女の姿が目に入った。そのとき、大きなトラックが彼女めがけて突進していった。まったく躊躇することなく、サティアナーラーヤナは大急ぎで道を渡り、少女を掴んで、トラックにぶつからないよう道に転げ落ちた。少女の両親は、サティアナーラーヤナが娘を惨事から救う一部始終を見ていた。両親はふたりのもとへ急いだ。少女はいくつかかすり傷を負っただけだった。しかしサティアナーラーヤナのズボンは裂け、両ひざから血が出ていた。少女の両親は、子どもを救ってくれたお礼に、なんでも欲しいものを贈らせてほしいと、ヒンディ語で感謝を述べた。サティアナーラーヤナは部分的にしかヒンディ語が理解できず、誰かケガをしていないか聞かれていると思った。

「大丈夫です」と、サティアナーラーヤナは彼らに伝えた。

彼らは少年がデリー出身ではないことにすぐ気づき、近くでよく見るとボロボロの服を着ていたため、物乞いなんだろうと感じた。彼らは少年を自宅へ連れていくことにした。サティアナーラーヤナはこれほど立派な家を見たことがなかった。彼らの家は非常に広く、庭に囲まれていた。サティアナーラーヤナは風呂に入れてもらい、新しい服も与えてもらった。庭へ行くと、そのあまりの美しさから、彼は非常に深い瞑想の状態へ陥った。夢見心地な状態から覚めると、すばらしい食事が待っていた。彼らは再び、今度は身振り手振りを加えながら、自分たちの子どもを救ってくれたお礼に、なんでも欲しいものを贈りたいと彼に伝えようとした。やっとそれを理解したサティアナーラーヤナは、身振り手振りにいくつかヒンディ語の言葉を交えて、3つの条件をのんでくれるのなら、申し出を受けるつもりであることを伝えた。1つめの条件は、彼の暮らしに関して個人的詮索はしないことだった。2つめは、マーナサ湖へ行く途中なので、そこへたどりつくための手助けをしてもらえればありがたいというもの。3つめは、自分の巡礼の旅へついてきても構わないものの、帰りは必ずデリー駅で別れ、そこで協力関係も完全に終わることになるというものだった。

家族はサティアナーラーヤナが自分たちの庭で恍惚状態に陥るのをすでに目撃していた。よって彼らは、この少年は放浪する修行者に違いないと結論づけ、彼の巡礼に必要な手配をすべて行うことを約束した。サティアナーラーヤナは4日間、彼らの家で休息をとった。家族はサティアナーラーヤナに個室を与え、あらゆる形で彼をもてなした。4日目、彼をヒマラヤへ案内するため、経験豊かなガイドふたりがジープで到着した。この家族の寛大な心を介して、聖なる母はサティアナーラーヤナが聖地へ向かう旅の手段を提供したのだった。

続く

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