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スワミジの伝記 2-13(『Swamiji The Manifestation』より)

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第2の周期(1954-1966) 若きスワミ 第13話

時が経つにつれ、サティアナーラーヤナは学校の文化プログラムに興味をもちはじめた。1959年、サティアナーラーヤナは教師のひとりに、ヴィナーヤカ・チャトゥルティー祭の聖日に開催されるイベントに参加するよう言われた。

祭の夜、サティアナーラーヤナはシルクの服に身を包み、木製のシンバルを手に学校へやってきた。

「ガナパティの物語を話そうと思います」と、彼ははずかしそうに師に伝えた。

教師がサティアナーラーヤナを観客に紹介すると、サティアナーラーヤナは1時間近くにわたり、ガナパティ神にまつわる物語を優しい声で語った。サティアナーラーヤナは欠席の多さと注意散漫さで知られていただけに、学校中の人々がこのパフォーマンスに驚かされた。

パフォーマンスを見ていた教師のひとりは、演劇ならサティアナーラーヤナも楽しんで参加するのではないかと感じ、彼に勧めた。教師の助言に従ったサティアナーラーヤナは、マイソールの郊外ケセア出身の舞台俳優ドゥワラカとすぐに親しくなる。サティアナーラーヤナは小柄で繊細な顔つきだったため、ドゥワラカはサティアナーラーヤナに自身の芝居に登場する少女役を与えた。

同じころ、ケセアを拠点にする大きな劇団のひとつが『プラフラーダ』※20を上演することになった。しかし初日の夜、プラフラーダを演じる予定だった少年が体調を崩し、舞台に出演できなくなってしまった。友人からその話を聞いたサティアナーラーヤナは、その足で演出家へ会いにいった。

「僕ならプラフラーダ役を演じることができます!」と、サティアナーラーヤナは興奮しながら演出家に告げた。

演出家は信じられない表情で少年を見たものの、代役をできる少年が他にいなかったため、サティアナーラーヤナに機会を与えることにした。

あまり期待せずに、「すぐに台詞を覚えて、歌を歌う準備をしなさい」と、男は少年に告げた。

「その必要はありません」とサティアナーラーヤナは答えた。「一度だけ台詞を聞かせてください、それだけで十分です」

演出家は少年に、急遽主役を務めることの難しさを説きはじめた。

するとサティアナーラーヤナは、「心配しないでください」と演出家へ伝えた。「信じてくれる人の期待を裏切ったことはありません」

出演者たちは近くにたたずみ、少年と演出家のやり取りを見ていた。彼らはサティアナーラーヤナの言葉を聞いてあざ笑い、この少年の態度に演出家は怒るに違いないと思った。しかし驚いたことに、演出家は腹を立てるどころか、サティアナーラーヤナの提案どおりに役作りをさせることに同意したのだ。この夜の芝居は一体どうなってしまうのか、俳優たちは思いをめぐらしはじめた。

その夜、プラフラーダに扮したサティアナーラーヤナは、舞台に現れはしたものの、神の賛歌を歌うのに没頭し、覚えたはずの台詞と進行の段取りをすべて忘れてしまった。彼が歌いだした曲はどれも、芝居のスコアには含まれていないもので、馴染みのないラーガ(旋律)にミュージシャンたちは当惑した。しかしながら、プロである彼らは、すぐにサティアナーラーヤナの歌にうまく合わせて演奏したため、観客は問題が起きていることに気づいていないようだった。サティアナーラーヤナが演じたプラフラーダは、これまでに上演されたどんな芝居の役とも異なっていた。サティアナーラーヤナは台詞をほとんど語らず、機会があるたびに新たなラーガを歌いはじめたのだ。他の俳優たちは最善を尽くし、舞台で起きていることに合わせて即興で演じた。サティアナーラーヤナを止めるにはもはや手遅れだったが、観客が芝居を楽しんでいるように見えたため、演出家はただ舞台袖に立ち、最後までうまく行くよう祈りながら、芝居の行方を見守った。

この芝居の最終幕には、魔族の兵士がプラフラーダを山頂から投げ落とす場面があった。そのため、山を模した大道具として、極端なまでに高く積まれた机がシルクの布で覆われていた。サティアナーラーヤナは「ナーラーヤナ、ナーラーヤナ!」(ヴィシュヌ神の異名)と叫んだあと、この山から突き落とされるふりをし、その直後に幕が閉じるという段取りになっていた。その場面が始まり、魔族の兵士役の俳優とサティアナーラーヤナは、予定どおり舞台装置の山の上に立った。しかし、サティアナーラーヤナがまたも即興で演じはじめたため、兵士役はどうしたらいいかわからなかった。少年が歌うのをふと止めたタイミングを見計らって、兵士役の男はついにサティアナーラーヤナを押した。計画どおり、サティアナーラーヤナは「ナーラーヤナ! ナーラーヤナ!」と叫んだものの、落ちるふりをするかわりに、セットから身を投げ出し、眼下の舞台に叩きつけられた。観客は驚き、信じられない表情で少年の姿を目で追った。裏方は急いで幕を下ろし、俳優たちは少年を助けようと急いでそばへ駆け寄った。サティアナーラーヤナは無傷だった。

「どうして幕を下ろしたんですか!」と、サティアナーラーヤナは裏方に向かって声を上げた。
「幕を開けてください!」と言い放ち、彼は起き上がった。

高いところから落下したにもかかわらず少年がケガをしていないことに誰もが驚き、それを見た演出家は幕を開けるよう指示を出した。幕が再び開くと、サティアナーラーヤナは歌いはじめ、熱狂した観客が賞賛を贈った。こうして、芝居は大成功に終わった。

※20 アスラ王ヒラニヤカシプの息子プラフラーダの神話。なんの疑いもなく、神の庇護を常に一身に受けていると信ずる理想的かつ献身的な人物で、名のプラフラーダは“内なる喜び”を意味する。

続く

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