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スワミジの伝記 2-19(『Swamiji The Manifestation』より)

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第2の周期(1954-1966) 若きスワミ 第19話

数週間後、パールヴァタンマは甥のために織布工場の職を見つけてきた。サティアナーラーヤナはそうした手作業が得意ではなく、霊的な恍惚状態に陥ることが多くなってきたため、織機の仕事をするのは危険に見えた。この仕事を始めてから2週間後、大きな叫び声を耳にした同僚が駆け寄ると、サティアナーラーヤナが右手から血を流しており、彼の小指の先が機械の横の床に落ちていた。仲間のひとりが医者を探すために急いでその場を離れた。サティアナーラーヤナが切り落とされた指先を拾い、手のもとの位置に戻したのを見て、そこにいた人々は驚愕した。サティアナーラーヤナは怪我した指をきつく押さえていたため、医者が到着したころには、片方に少し傾いてこそいたものの、みんなの驚きをよそに、サティアナーラーヤナの指は治っていた。

この痛ましい事故を受け、サティアナーラーヤナは織布工場の仕事を失ったため、パールヴァタンマは甥を小学校の先生にしようと、訓練校へ送り込むことにした。その一方で、サティアナーラーヤナには家庭教師の経験があったため、彼は大人向けの夜のクラスを教え始めた。パールヴァタンマが甥にヒンディ語を教えはじめたことで、彼のヒンディ語はヒンディ・プラヴェーサ(入学試験)に受かるほど流暢になり、サティアナーラーヤナはより上の学年を教えるための訓練を受けられるようになった。

サティアナーラーヤナはこれまでずっと、人々を導くために献身して俗世を生きなさいという、母の命を受けて瞑想を続けてきた。教師として新たな職を得て、人々により良い人間になるための助けとなる術を教えてきたが、自分がヴェーダンタを教えるべきなのはわかっていた。彼はこれまで、正式にヴェーダを学んだことがなく、その必要も感じていなかった。というのも、ヴェーダの聖典に見られる叡智は、すでに彼の胸と心に刻まれていたからだ。自分の人生を見つめ、この教師の職が、将来の仕事のための準備であることに、サティアナーラーヤナは気づいた。自分の任務をまっとうする上で必要となる、説明の仕方、ユーモア、言葉の流暢さ、表現法を、教職を通して学んでいたのだ。3月、彼はついに教員訓練課程を終える。

同じ年頃の若者同様、サティアナーラーヤナの婚期が迫ってきた。家族は、彼の相手を見つけることにあまり熱心ではなかった。奇妙な行動をとる甥を夫にしたい女性はいないと、彼らは確信していたのだ。しかし、親戚のひとりである少女が、サティアナーラーヤナのことが好きで結婚したいと胸の内を明かした。少女の父親は若きヨギと話をし、もし娘と結婚してくれるなら、いい仕事と不動産と金を贈ることを約束した。

「今のままでいるよりも、娘と結婚したほうがよくなる」と、父親はサティアナーラーヤナに告げた。

サティアナーラーヤナはこの申し出を断ったため、他意はなかったものの、少女の家族を傷つけてしまった。すると、もしサティアナーラーヤナが妹との結婚に同意しないなら殺すと、妻になることを希望している少女の兄たちが脅してきた。サティアナーラーヤナはこれに恐れをなしたものの、どうしたらいいかわからなかった。母の命を思い出し、サティアナーラーヤナは嘆き続けた。少女の父親はサティアナーラーヤナのこうした状態を見て、結婚に対する意識を変え、ここを去って、二度と自分たち家族に近寄らないでほしいと彼に伝えた。

一方で、サティアナーラーヤナの家族との生活は、ますます困難になってきた。この結婚の失敗で家庭内の緊張が高まっただけでなく、サティアナーラーヤナに相談しようと、より多くの人々が家を訪ねてくるようになったからだ。話が終わってもすぐに帰らず、近くで友人たちと噂話をする者まで出てきた。家族は疲れ、神経過敏になっていた。リンガンナのぜんそくが悪化し、咳が出て呼吸困難になり、眠れない夜を過ごすことが多くなった。そのせいで家族も夜眠れなくなり、日中にさまざまな人が訪ねてくることで、一切、休息をとれなくなってしまったのだ。サティアナーラーヤナに課された家での仕事も滞りだした。サティアナーラーヤナは普通に生活しながらも、サマーディの状態を保てるよう真剣に努力したが、いまだに瞑想状態に入り、意識が飛んでしまうことがあった。そんなある日、ついに牛乳配達をし損ねてしまい、叔母に激怒された。

「おまえはヒマラヤにでも行ったほうがいいでしょうね!」と、叔母は甥を怒鳴りつけた。「ヒマラヤだったら、おまえが木の板みたいに硬直して座っていても、誰も気にしないですからね!」

叔母の言葉に応じることなく、サティアナーラーヤナは家から出ていった。2週間、まったく音沙汰がなかった。ついに戻ってきた彼は、やつれているように見え、服は汚れていた。

数日後、リンガンナが目を覚ますと、孫が古い木箱からなにかを取り出しているのを目にした。

「なにを手にしているんだい?」と、寝床から起き上がった祖父は咳をしながら訊ねた。物音を聞いて目を覚ましたパールヴァタンマも、会話に加わった。

「ガナパティですよ」と言って、サティアナーラーヤナは箱から、なにも掘られていない木を取り出した。「見てください、おじいさん、ここが鼻で、ここがおなかで、足と手です」と説明した。

近くでよく見ようと、叔母は明かりを灯した。「何も彫られていないじゃない!」と、パールヴァタンマはあざ笑った。

「これは彫刻家の作品ではありません」と、サティアナーラーヤナは優しく答えた。「これは、アルカ・ガナパティです。つまり、白いカロトロピスの植物のもとで、木自身が根の部分にガナパティの形を成したんです。裏庭で見つけたんですよ!」

「そんな偶像を家に置いておいたら、なにか悪いことが私たちに降りかかるかもしれない!」と、パールヴァタンマは不満をもらした。

この言葉に、サティアナーラーヤナは驚いた。「もしガナパティが家にいれば、不幸は飛び去っていきます。どうして悪いことが起こるんです?」と、彼は訊ねた。

しかし叔母は、ダルマ・シャーストラ(正しい行為について述べた聖典)を唱えだした。「もしなんらかの偶像が家に置かれることになれば、彼らを満たすため、毎日、儀式用の食ベ物を捧げなければなりません。さもなくば、彼らは害をもたらします。おまえはいったい、何を考えているのです? おまえの祖父は健康を損なっているのですよ。このようなものが家のなかにあるのはよくありません。明日、それをどこかの寺院へもっていきなさい」

リンガンナは疲れており、床に戻りたがった。「どうして夜中に口論するんだ?」と、彼は不平を言った。「もう寝なさい、そのことは明日考えよう」

サティアナーラーヤナ以外は、みんな寝床に戻った。サティアナーラーヤナは混乱しながらも、ガナパティを箱に入れて横になり、手を箱の上で休めた。すると突然、中のガナパティが動き出した。サティアナーラーヤナは即座に蓋を開け、偶像を箱から出した。蓮華座を組み、その上に木の偶像を乗せて、目を閉じた。すぐにガナパティの存在を感じることができた。

「なんなのですか、主よ?」と、サティアナーラーヤナは祈った。「どうして私を、この家で平和に暮らせるようにしてくれないのですか?」

「私は食べ物も飲み物もなく、ここにいる。君は庭から私を呼んだ。私はここにいる、さあ、連れていってくれ!」と、内から答えが返ってきた。

「確かに私はあなたを庭からお連れしました」と、若きヨギは祈った。「しかし、どうして主は、私に問題をもたらすのですか?」

「これはなんだというのだ! 君は聖典に関する完璧な知識があると言っているが、私を家に連れてきながら、私の方から君に食べ物を求めなければならないとは!」と、サティアナーラーヤナの心の中にいるガナパティが囁いた。

「供物の食べ物を求められているということでしたら、叔母の言葉は正しかったのですね。それならば、私の強さ、知識はどこにあるのでしょう?」と、少年は訊ねた。「あなたに捧げる食べ物をお持ちします。なにをすべきか教えてください」

「すぐに水を持ってくるように、そして食べ物はのちほど、我々が去ったあと、私に供えればいい」と、理解しがたい言葉が内から告げられた。

「どういう意味でしょう?」と、サティアナーラーヤナは内なる声に訊ねた。

「君は家主がいる家に住むために生まれたわけではない。忘れたのか? 君には特別な務めがあり、そのために、おまえは自分の居場所を見つけなければならない。君に見せよう。私についてきなさい。しかしその前に、私に水を供えるように」

サティアナーラーヤナはすぐに寝床から立ち上がり、沐浴をした。戻ると、木の偶像にアビシェーカム (水を注ぐ儀式)を始めた。サティアナーラーヤナが詠唱しながら鈴を鳴らし、偶像に水を注いだため、リンガンナが目を覚まし、咳をしだした。

「なにをしているんだ? この真夜中の儀式はなんなんだ? 悪霊に今、供物を捧げているのか!」と、祖父が大声を上げた。

「違います、おじいさん」と、サティアナーラーヤナは泣いて訴えた。「私はこうして、ヴァクラトゥンダ(あらゆる罪と悪の破壊者である、鼻が曲がったガナパティの化身のひとつ)を、具現化したプラナヴァ(原始の聖音オーム)そのものを拝んでいる最中なのに、どうして悪霊を崇拝しているなどと言うのですか?」

呼吸困難になりながらも、リンガンナは怒り続けた。「おまえがやっている、この忌々しい悪霊崇拝はなんなんだ? 誰が神で誰が悪霊か、見分けられるほどの知識がおまえにはあるのか?」 そうつぶやきながら、リンガンナは部屋を飛び出していった。

サティアナーラーヤナは線香を束ごと手に取って火を灯し、ガネーシャの偶像の前に捧げた。太い筋の煙が上がって家中を包み、リンガンナはさらなる呼吸困難に陥った。香の匂いとリンガンナの咳でパールヴァタンマも目を覚まし、目の前で起こっている事態に激怒した。

「慎重におなりなさい、サティアナーラーヤナ」と彼女は叫んだ。「この忌々しい崇拝を止めないつもりなら、おまえの偶像をひとつ残らず捨てますからね!」

「叔母さん、はっきり言ってください。僕のことが好きじゃないって!」と、サティアナーラーヤナは大声で答えた。「もしそう感じてらっしゃるなら、僕は今すぐにでもこの家を出ていきます!」

「おまえがこの家を出ていけるわけがない」と、叔母はあざ笑った。「どこへ行くと言うのです? 出ていったところで、いつも這うように戻ってくるくせに。おまえがそこまで愚かな人間なら、いいでしょう、お行きなさい!」

サティアナーラーヤナとパールヴァタンマの口論はさらに激しくなった。そして、ついに少年は大声を上げた。「僕が施しをしようと、施しを受けようと、叔母さんには関係ありません。自分の家から出ていけと、叔母さんは僕に言いましたね。だったら出ていきます! 約束を破るなんて、立派で威厳ある人々がすることではありませんから!」 サティアナーラーヤナは怒りながら自分の荷物をまとめて家を飛び出し、夜の闇へ消えていった。

Arkaganapathy
写真:マイソールのアシュラムにあるアルカ・ガナパティ(アルカの木、つまりカロトロピスの木の根が形成したガナパティ像)を抱えるスリ・スワミジ

続く

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