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シュリーマド・バーガヴァタム 第59話

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聖仙スータは続けました。

「カリ・ユガの時代においては、徳業や善行への参加を願うだけで、その人はプンヤ(功徳・幸運)の恩恵を受けられます。

一方、実際に罪深い行為に耽溺する人は、罪で汚れます。単に罪深い行為を計画しているだけの人は、罪で汚れることはありません。

この知識の詳細に気づいたパリクシットは、カリに対して嫌悪感を抱かなくなりました。

オオカミが羊の群れに入って、食い荒らすのと同じように、カリは無防備な人々に中に入り込み、圧倒的な力を発揮します。警戒心がなく、知識のない人々に大きな影響を及ぼすカリは、聡明で知識のある人間を非常に恐れ、距離を保ちます。このことから、分別のある賢い人間はカリを恐れる必要はないのは明白です。彼は無垢で無抵抗な人間を不必要に攻撃しません。

問題は、過去の行動の結果であり、カリに起因するものではありません。しかし、人が調子に乗って怠慢になったり、間違った方向に傾いたりすると、カリはその人に入り込み、影響を与えます。

この原則を徹底的に理解したパリクシットは、カリのような臆病者を恐れる必要はないと信じていました。

大いなる賢者たちよ、あなた方のご要望に基づき、私はあなた方にヴァースデーヴァ・シュリ・クリシュナの栄光に深く結びついたパリクシットの物語を語りました。

yā yāḥ kathā bhagavataḥ kathanīyoru-karmaṇaḥ
guṇa-karmāśrayāḥ pumbhiḥ saṁsevyās tā bubhūṣubhiḥ
完全と幸福を達成しようとする人間は、主の超越的な活動とその特質が描写された至高の主の輝かしい物語全編を日々、聴く義務があります。

このことを知った聖者たちは言いました。

「聖仙スータ様!あなたは私らの耳にとって甘露のような主シュリ・クリシュナの栄光を語ってくださいました。甘露のような物語が私たちの耳に入った時、私たちは至福の時間に身を浸します。私たちは、あなたが長寿であることを祈っています!私たちが始めたこのサトラ・ヤーガが私たちを彼岸に連れて行ってくれるという確信はありません。この長いヤグナを行なっているために、私たちは体じゅう煤や灰まみれになりましたが、あなたは神の蓮華の御足という甘露を飲ませてくださいます。

解脱に到達したり、天国での至福の時を享受したりするといった至高の状態でさえも、主ヴィシュヌの熱心な帰依者たちとわずかな時間でも共にすることには匹敵しません。至高の贅沢はおろか、俗世間で人々が楽しむつまらない贅沢については何をか言わんやです。

主シュリ・クリシュナは、高貴な聖人と偉人(マハトマ)にとって最高級であり、究極的なご加護そのものです。この至高の味覚(ラサ)を楽しむのに慣れ親しんでいる人は、主の栄光を何度聴いても満足することはありません。

ヨーガの最高師範(ヨゲーシュヴァラ)たちと同様に、ブラフマーやシヴァでさえも、本質的に特質(属性)を持たない(ニルグナ)、至高のパラマートマの特質(属性)すべてを完全には把握できません。

ですので、大いなる聖者様!主の輝かしい物語の詳細を説明してください。私たちは、高貴な聖人全員が求めている唯一の物語である、主の物語を聴くことを熱望しています。あなたは、人生の主な目的として主への奉仕に専念しておられ、主に関する最高の学識を備えた帰依者です。この話をより詳しく説明してください。

聖仙シュカが伝えた教えから得られた知識を通して、聡明で知的な神の至高の帰依者であるパリクシットは、解脱という大義名分のために、ガルーダ・ダワジャを保有する主シュリ・ハリの蓮華の御足に到達しました。

きわめて純粋なこのバーガヴァタ・プラーナは、至高の主についての物語を説明しながら、知識を教えています。この神聖なバーガヴァタムは、聖仙シュカからパリクシットに教授されましたが、主に帰依する者すべてにとって非常に貴重です。私達が理解できるように、それに含まれる意味を綿密にご説明ください」

聖仙スータは、まったく謙遜した態度で返答をしました。

「ああ!なんと驚くべきことでしょう!あなた方の質問は素晴らしい!私は高カースト出身の母と低カースト出身の父の間に生まれました。それでも、今日、あなた方のような高い地位の偉人(マハトマ)たちに奉仕する機会を通じて、私の人生は幸福になりました。

私のような人間が至高の聖人と会話する貴重な機会に恵まれたとき、その人間の精神的な苦しみはすぐに洗い流されます」

この言葉から、聖仙スータは低カーストに生まれたことで精神的に苦しんでいたこと、そしてこれらの至高の聖人たちとの会話を通じてその苦しみから解放されたことは明らかです。聖人たちがバーガヴァタムを聴きたいという欲求を表明したとき、心の痛みは消え去りました。聖仙スータは、これは過去数年間、これらの高貴な魂とともにサットサンガを持ち続けた賜物であると信じました。これは、人が至高の主の栄光に専心して歌う時、その人の欠点が綺麗に洗い流されるという証です。

「至高の主は無限のエネルギーに満ちています。主の特性には終わりがありません。このため、主はアナンタ(無限)として扱われます。特性(グナ)という点では、主と同等もしくはそれ以上の者はいません。

ブラフマーや自分を熱心に崇拝する人たちにも全く無関心なラクシュミ・デーヴィも、最も重要なこととして主シュリ・ハリへの奉仕に専念しています。このことから、シュリ・ハリの偉大さを容易に計り知ることができます。

これだけに限ったことではありません!主ブラフマーが主シュリ・ハリの蓮華の御足に捧げる聖水は、主シヴァの頭上に流れ落ちます。この聖水はガンジス河として地上を流れ下り、地上を純粋なものにします。

「バガヴァーン」という称号は、シュリ・ハリまたはムクンダ(解放者という意味のクリシュナの別名)にのみ相応しいものであり、他の誰にも似つかわしくないです。このバガヴァーンへの献身を通して優れた認識能力を持つ人物は、自身の肉体や物質的世界に向かって深く傾倒することを放棄します。彼らは、アーシュラマ(人生の段階)の中で最も優れ、非暴力(アヒンサー)と行為の放棄と結びついたサンニャーサ・アーシュラマ(放棄者の段階)を選ぶのです。

彼らは真の自己の経験と呼ばれる自然状態(スヴァダルマ)を維持します。

偉大な聖者達よ、太陽に似た光輝をもつあなた方は、シュリ・クリシュナについて私に説明するように求めています。

この課題に対して私が行える最大の正義は、私の知識と理解の範囲内にとどまります。鳥が自らの翼の能力に応じた飛び方しかできないのと同様に、識者も主ヴィシュヌについての自分の理解の範囲内でしか説明できません。結局のところ、主の栄光は無限であり、空のように果てしなく広いのです!」

クリシュナ!シュリ・ハリ!

続く

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