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シュリーマド・バーガヴァタム 第92話

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オーム・ゴーヴィンダーヤ・ナマハ

パリクシットの質問の返答として聖仙シュカは次のように述べました。

「失明に加えて、ドリタラーシュトラも識別のための適切な知識を欠いていました。彼には正しい知性がありませんでした。彼は息子の不正で不誠実な行動をやめさせる力がなかったので、それらの行いを黙認していました。パーンダヴァ一族の甥たちも、幼年期に父親を亡くしました。ドリタラーシュトラは、彼らが蝋の宮殿に入ったことを確認して、彼らを滅ぼすために火をつけました。

彼の息子ドゥフシャーサナは、自分の王宮内の廷臣全員の面前で、義理の娘であり、皇帝ユディシュティラの王女でもあるドラウパディの髪に触れて、留め直しました。彼女はひどく泣いたため、彼女の胸のクムクム(赤い粉)は完全に洗い流されました。それでもドリタラーシュトラは、そういった品位を落とす行為に興じていた息子ドゥルヨーダナとドゥフシャーサナに忠告することができませんでした。

ドゥルヨーダナと彼の仲間は、サイコロのゲームの際に不正を行い、気高い王ユディシュティラを負かしました。ゲームの条件に基づいて、真実のダルマにしっかりと立脚したユディシュティラは約束を果たすために亡命しました。無敵のユディシュティラが亡命期間を全うし、王国に戻りました。彼は約束通り王国の分け前を正当に与えられることを懇願しました。しかし、不義の行為を面白がったドゥルヨーダナはその要求には応じませんでした。

パーンダヴァ一族が正当に所有する土地を手放すことを拒んだドゥルヨーダナは、凶悪で不義の行為に関与しました。それから、ユディシュティラは、クリシュナ・パラマートマに、カウラヴァ一族の法廷への使者として行き、彼らに正義の法を説教してもらうように懇願しました。

クリシュナの言葉は、カウラヴァの集会に出席していたビーシュマの耳や他の崇高な魂にとっては甘露でした。しかし、ドゥルヨーダナと他の不誠実な人々はクリシュナの忠告に耳を貸しませんでした。なぜなら、彼らには徳がなく、彼らの閻魔帳には徳業(プンヤ)が積まれていませんでした。神の言葉を聴くことができるのは、善良で敬虔な魂だけです。そういった者だけが神の言葉を理解する能力を持っています。

心の葛藤を感じたドリタラーシュトラは、意見を聴くために弟ヴィドゥラを家に招きました。その際に、道徳的模範であるヴィドゥラは自らの意見を述べ、正義の法を兄に説きました。著名な学者らは、この忠告を「ヴィドゥラ・ネーティ」と呼び、高く評価しています。

ヴィドゥラは説きました。

「あなたは許容範囲を超えた重大な過ちを犯しました。それでも、無敵のユディシュティラは、最大限の努力でそのことを許容しています。彼らが合法に所有している土地を返してあげなさい。兄弟たちと一緒にいるあの男がビーマという者で、彼は怒りで激しく震えているヘビであることを覚えておきなさい。あなたはビーマというヘビに怯えることになるはずです。注意しておきなさい。

解脱を授ける主であるシュリ・クリシュナは、徳のある人々を永遠に保護します。彼は自分自身にパンダヴァ一族を保護する責任を課しています。大胆不敵で勇敢なヤドゥ一族に崇拝されて、彼は現在ドゥワラカに住んでいます。彼は無数の王を征服した強力な主です。

罪が化身し、ドゥルヨーダナという名において、あなたの家に入りました。このドゥルヨーダナはシュリ・クリシュナを軽蔑しています。彼はシュリ・クリシュナからあなたを引き離しています。父性愛を持ってして、あなたはこのドゥルヨーダナを養育しています。その結果として、あなたの徳と富はすべて失われかけています。あなたが本当に身内の繁栄を求めているならば、すぐさま邪悪なドゥルヨーダナから自分自身を遠ざけなさい。彼を捨てなさい」

ヴィドゥラは崇高な特質すべての象徴でした。彼は模範的な性格を持っていたので、誰からも愛されていました。にもかかわらず、ヴィドゥラが発した言葉はドゥルヨーダナを激怒させました。
彼は眼を回し、下唇を怒りで震わせて、弟のドゥフシャーサナや叔父シャクニやその身内と一緒になって、ヴィドゥラを侮辱しました。

「誰が、不誠実で詐欺師の家政婦の子どもであるヴィドゥラがこの宮殿に入ることを許したのか?私の施し物のお陰で生活しており、私が提供する食物で身体を養っているくせに、私の敵を支持し、生意気な口を利いてくる!彼を殺さないなら、すぐにこの街から追い出すのだ。この命令が実行されないのであれば、私が彼を殺す」このようにして、ドリタラーシュトラの目の前で、ドゥルヨーダナは卑劣な言葉を発してヴィドゥラを侮辱しました。

鋭い矢のように、ドゥルヨーダナによって発せられたこれらの卑劣な言葉はヴィドゥラの心に突き刺さりました。非常に気高い人物であるヴィドゥラは、これらの言葉が彼の耳に入っても悲しませんでした。彼は、主の幻力がこれらすべてを引き起こしていることを悟りました。彼は宮殿の入り口に弓を置くと、そこから歩いて去りました。

カウラヴァ一族は、自分たちが積んだ徳により、徳のあるヴィドゥラを手に入れたのです。こうして、ドゥルヨーダナに侮辱されて、ヴィドゥラはハスティナプラから退去し、歩いて去りました。彼は功徳を得ることを望んで、地上の聖なる巡礼者の聖地を巡りました。

ガンジス河と他の多くの神聖な場所は主シュリ・クリシュナの足から始まりました。これらすべての場所で、シュリ・クリシュナはさまざまな姿となり、それらを通じて光を放ちます。ヴィドゥラは町を通り抜け、汚れない庭園、山々、川、そしてあらゆる不純物を欠いた湖や無数の姿で現れる主の美しく装飾された偶像が明るく輝く場所を一人で旅しました。

アヴァドゥータのごとく木から落ちた果物だけを食べ、様々な神聖な水で沐浴し、裸の床の上で睡眠しながら厳格な規律に従って、彼の親類にも知られずにヴィドゥラは世界中を旅しました。彼は主にシュリ・クリシュナを喜ばせるために様々な訓練と苦役を引き受けました。

彼はプラバーサ・ティールタに達しました」

オーム・ゴーヴィンダーヤ・ナマハ

続く

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