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シュリーマド・バーガヴァタム 第134話

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第三編十九章

この章では、主ブラフマーの祈りに基づいた主ヴァラーハによるヒランヤークシャの殺害(退治)について取り上げます。

聖仙マイトレーヤは続けました。

「ヴィドゥラよ!主ヴァラーハは、ブラフマーが発する純粋な蜜の言葉を聴き、魅力的な笑顔と思いやりに満ちた視線でブラフマーを見て、彼の祈りを受け入れました。
ヒランヤークシャは負けませんでした。彼は槌矛を空中で激しく回転させ、主ブラフマーの鼻孔から現れた至高の主である主ヴァラーハに近づきました。主ヴァラーハは適切な機会を見つけて宙を舞い、槌矛を使って力強く悪魔の顎を打ちました。

彼自身の槌矛を用いて、ヒランヤークシャは、主の槌矛を食い止め、今度は彼が主を攻撃しました。主の槌矛は空中に弾かれ、何度も回転して落下しました。

この戦いを目の当たりにしたデーヴァタたち(神々)は、槌矛が主の手から滑り落ちるのを見て驚きました。彼らは警戒して叫び始めました。実際、これは悪魔が無防備な主を攻撃する絶好の機会でした。しかし、それでも、戦いのルールを厳守して、彼は主を攻撃することなくじっとしていました。

主ヴァラーハは、悪魔によって示された正義感に満足しました。自分の槌矛が地に落とされたことに憤りを感じ、主は即座に円盤スダルシャナ・チャクラを呼びました。

スダルシャナは悪魔を殺すことを熱望していました。しかし、それでも主は、すべての悪魔の指導者である悪魔の王と戦い続けました。彼は遊び心のある活動を続けました。底知れぬ不安の中で、デーヴァタたちは天国からこの戦いを見ていました。彼の超越的な活動を理解することができず、彼らは動揺し、心配していました。彼らは主に向かって言いました。

「主よ!勝利できますように!すぐに悪魔を退治してください!」

あらゆる手段で、彼らは主に祈りを捧げました。

その後、美しい魅力的な蓮の目を持つヴァラーハ・スワミは、円盤を取り上げて悪魔の前に立ちました。これを見ると、悪魔の心と手足は制御不能な動揺を覚えました。激しく叫んで、彼は下唇を噛みました。主を飲み込まんとする目つきで、凶暴な牙を持つ悪魔は、主を睨みつけました。

「これでお前はおしまいだ」とかっとなって叫び、槌矛で打とうと悪魔が主に襲いかかりました。悪魔が迫るなか、主は槌矛を左足でふざけて蹴りました。それから主は悪魔に向かって言いました。「お前は、戦いにより私を打ち負かしたかったのだ。それなら、その武器を拾って、一からやり直せ」

激しく唸り声を上げるヒランヤークシャは彼の槌矛を拾い上げ、それを主に投げつけました。槌矛が凄まじい勢いで飛んでくるのにもかかわらず、主ヴァラーハは身動きせずにじっと足を踏ん張っていました。彼はそれが近づくのを待ち、ワシがヘビを捕まえるのと同じくらいに難なく、槌矛を掴み取りました。

このように彼の勇敢さが試された時、ヒランヤークシャの自我は打ちひしがれました。彼の顔からは輝きが消えました。その後、主は悪魔に槌矛を返しました。しかし、悪魔はそれを再び手にすることを躊躇しました。悪人が高貴なブラフミンを殺害するために悪意のある行為に頼るのと同じように、悪魔はヤグニャの化身である主ヴァラーハを殺すために三つ叉の鉾を取り出しました。

三つ叉の鉾の槍先からは、すべてを飲み込むような炎が出ていました。悪魔がこの三つ叉の鉾を力一杯投げたとき、それは大きな火花を吐いて主に向かって飛びました。主ヴァラーハは円盤で三つ叉の鉾からその身をかばいました。インドラがガルーダの翼から羽を切り落とすように、ヴァラーハは、三つ叉の鉾を木っ端微塵にしました。

ヒランヤークシャの怒りはさらに強まりました。狂気とともに大声で唸り、彼は主に向かって走り、拳で主の胸を突き、そして忽然と姿を消しました。

主ヴァラーハは、この激しく凶暴な攻撃に少しも動揺しませんでした。ヴァラーハ・スワミを拳で殴ることは、象を花輪で打つようなものです。さて、この悪魔は、主を打ち負かすために様々な恐ろしい奇術に頼りました。この恐ろしい出来事を目撃した人々は、世界の平安が脅かされると感じました。

悪魔の幻想的な力で、強烈な風砂を引き起こしました。すべてが暗闇に包まれました。方々から石が降りました。空は雷と厚い黒い雲で覆われました。星座は視界から消えました。これらの雲は、膿、髪、血液、骨、尿、糞便を雨にしました。

山はあらゆる種類の強力な武器を放出しました。髪の毛を乱して三つ叉の鉾を手にした裸の鬼女がさまざまな場所に現れました。歩兵、馬に乗る戦士、象と戦車、多くの残酷なヤクシャと悪魔は、そこら中でけたたましく叫びました。

Prāduṣkṛtānāṁ māyānām āsurīṇāṁ vināśayat
Sudarśanāstraṁ bhagavān prāyuṅkta dayitaṁ tri-pāt

三つのパーダで構成されたヤグニャを彼の姿として持っているヴァラーハは、ヒランヤクシャによって創造された幻想を終わらせることを決め、彼のお気に入りの武器である円盤を放ちました。

まさにその瞬間、ディティは夫マハリシ・カシュヤパが以前に予言していたことを思い出しました。彼女は震えました。彼女の胸から血が流れました。主の円盤は、悪魔によって生み出された幻想を打ち砕きました。彼の幻想は打ち砕かれ、悪魔は今や手に負えないほど激怒し、この怒りの中で彼は狂ったように主に向かって駆けつけ、捕まえてひねりつぶそうとしました。しかし、主は彼の攻撃をよけました。

今、彼は硬度の高いダイヤモンドのような拳で主を殴ろうとしました。インドラが悪魔ヴリッタスラを襲ったのと同じように、主は逆にヒランヤークシャのあごを軽く打ちました。

世界の征服者である主ヴァラーハは、力をこめてヒランヤークシャを殴ったりしませんでした。むしろ、それは穏やかな打撃でしたが、この穏やかな打撃により、悪魔はぐるぐる回転し始め、眼球が飛び出しました。彼の手と足は折れました。彼の髪は散らばり、火山風により根こそぎにされた巨大な木のように、彼は地面に落ちました。これが、無敵を誇ったヒランヤークシャの最期でした。

ヒランヤークシャとヒランヤカシプは、主マハーヴィシュヌの個人的な付き添いであるジャヤとヴィジャヤに他なりませんでした。聖仙サナカや他の者の呪いがこの悪魔の誕生の理由でした。そのような出生がさらに数回あった後、彼らは元の地位に戻ります。

ブラフマーと他の聖仙たちは今、主を賛美しました」

シュリダラーヤ・ナマハー

続く

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