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ラリタ・サハスラナーマの名の意味71~80

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71. Jvālāmālinikā-kṣipta-vahni-prākāra-madhyagā ジュヴァーラーマーリニカー・クシプタ・ヴァフニ・プラーカーラ・マディヤガー

意味)女神ジュワーラーマーリニは炎の結界(ヴァフニ・プラーカーラ)を創造し、それを至高の母の周囲に投げました。

この女神ジュワーラーマーリニによる炎の要塞は悪魔バンダースラへのカヴァチャム(鎧)の形成を象徴しています。
女神ジュワーラーマーリニの寺院はヴァイシュノイ・デーヴィにあります。それはアグニ・スタナ(火の場所)です。その寺院では常に火が燃えています。女神ラージャラジェーシュワリが不動の姿(ニスチャラ)でその炎の結界の中で座っています。
ジュワーラーマーリニは月の暦における二週間の十四日目の主宰神であり、その日に礼拝されます。
スワミジの誕生地であるメークダトゥは自然が形成したシュリ・チャクラになっています。よく観察すると、シュリ・チャクラに見られる全ての三角形、同心円である円、角がそこに見出せます。彼はこのシュリ・チャクラの中心の点で生まれました。メークダトゥは自然が断崖絶壁の要塞を形成しています。

72. Bhanḍa-sainya-vadhodyukta-śakti-vikrama-harṣitā バンダ・セインヤ・ヴァドードゥクタ・シャクティ・ヴィクラマ・ハルシター

意味)至高の母は彼女の軍勢が悪魔バンダースラを攻撃し打倒しようとしているのを喜んでいます。

彼女が不動の姿勢で座る中、彼女の軍勢と悪魔との間で戦争が起ころうとしています。彼女の軍勢はそれぞれが自分に割り当てられた役割を完全に把握し、全ての邪悪な力を破壊する準備ができています。彼女たちの力、士気、勇猛さが母を喜ばせています。
バンダの悪魔的な力は私たちの霊的(ヨーガ的)な道と毎日の生活に現れる障害や妨害を同時に象徴しています。それには知性を曇らせるエゴや無知が含まれます。それらを克服するために彼女の神聖な力が必要とされます。私たちがこれを得ようと努力するとき、彼女は喜びます。

73. Nityā-pārākramāṭopa-nirīkśaṇa-samutsukā ニティヤー・パーラークラマートーパ・ニリークシャナ・サムトゥスカー

この名には二つの意味があります。
1) 十五人のニティヤ・デーヴィたちが現わした士気と勇猛さが聖なる母を喜ばせ、彼女は強い熱意をもって戦いを見ています。

十五人のニティヤ・デーヴィは月の暦の二週間における十五日間を表します。彼女たちは悪魔の軍勢の十五人の指揮官を打倒します。
これは実際には霊的志向者の内部で行われる戦争です。それは無知、エゴ、その他の悪魔的性質の側と神聖な力の側との戦いです。

2) 至高の目的へ向けて絶え間なく働く偉大なサーダカ(霊性志向者)は彼女を大いに喜ばせます。

ニティヤは毎日を意味します。「プラクラマ+アト―パ」は目的へ向けて前に踏み出す者について言及しています。
規律と毎日の義務(ニティヤ・カルマ)に厳格に従う偉大なサーダカの諸行為が彼女をおおいに喜ばせます。ヴェーダの学習(ヴェーダブヤサ)、ヨーガの実践(ヨーガ―ブヤササ)、学習(ヴィディヤブヤサ)は毎日の義務です。「アブヤサ」は終わりのない学習過程と毎日それを行うことを意味します。ここで「絶え間ない実践」がキーワードになっています。

74. Bhaṇḍa-putra-vadhodyukta-bālā-vikrama-nanditā バンダ・プトラ・ヴァドードュクタ・バーラー・ヴィクルマ・ナンディター

意味)若いバーラ―がバンダの息子(バンダ・プトラ)を打倒したことを知り、聖なる母はとても高揚します。

バーラーは至高の母の心から生まれた娘(マーナサプルティカ)です。彼女は永遠に九歳である少女です。
女神バーラーが戦場に入ったとき、女神マントリニーとダンダナーヤカが彼女の護衛につきました。バンダの息子は、バーラーの背後をつく卑怯な方法で攻撃をしました。しかし彼女は一日を通して勇敢に戦い、最後には彼らを殺しました。聖なる母、ラリタ・デーヴィはこれを見て、非常に高揚しました。
バーラー・デーヴィは卑怯な手を使う者を厳しく責めます。
「バーラ―」の名は、私たちにティルマラを自身の住処に定めたバーラジを思い出させます。この名前だけではなく、バーラーとバーラジは多くの共通点を持っています。七つの丘の主であるバーラジはいつも絹のサリーを着て、シュリ・チャクラを近くに置いています。彼は金曜日を自分のアビシェーカ(洗礼)の日と定め、長い髪(カシャ)を持ち、特別なナイヴェーディヤ(食べ物)があります。彼は少し腰を曲げた女性的な姿勢(トリバンギ)で立っています。これら全ては至高の母(至高のエネルギー)の性質です。
バーラ―・マントラには多くの重要な意義があり、シュリ・ヴィディヤのウパーサナ(礼拝)において非常に強力です。シュリ・ヴィディヤへの最初のイニシエーションは、このバーラー・マントラです。クマリ・プージャが行われる間、バーラー・デーヴィは十六の姿で礼拝されます。

75. Maṇtrinyambā-viracita-viśanga-vadha-tośitā マントリニンヤンバー・ヴィラチタ・ヴィシャンガ・ヴァダ・トーシター

意味)マントリニー(シュヤマラ)が悪魔ヴィシャンガを打倒し、至高の母は高揚しました。

ヴィシャンガとヴィシュクラクラは悪魔バンダの二人の兄弟であり、彼によって創造されました。
バンダースラは息子たちが全員倒されると、兄弟を戦場に出しました。ヴィシュクラは夜に敵に近づき、神秘的なヤントラ(ヴィグナ・ヤントラ:ヤントラは秘教的幾何学模様)をジュワーラーマーリニが作った炎の結界に投げました。このヤントラは聖なる母の軍隊に錯覚、無知、怠惰を引き起こしました。女神マントリニーとダンディニはこの障害に影響されず、聖なる母に近づきました。彼女は微笑んで主カ―メ―シュワラを見ると、その微笑みからガネーシャが生まれました。彼はヴィシュクラが作ったヤントラを粉砕しました。これによって聖なる軍隊は無知/眠りから目覚め、マントリニーとダンダナータの指揮下において戦場に殺到しました。この戦いの中でマントリニ・デーヴィがヴィシャンガを討ち取りました。
「ヴィシャンガ」はサットサンガ(聖なる交友)への参加や接近を妨げる悪魔です。マントラ・ジャパ(マントラの詠唱)は彼が近づくことを妨げます。人生は敬虔で善良な交友がなければ、大失敗が待つのみです。良い知性(サッド・ブッディ)はサットサンガ(良い、健全な交友)によってのみ、人に生じます。そのような交友は適切なマントラ・ジャパの実践によって生じます。
個人においては、マントリニーによるヴィシャンガの破壊は、サットサンガとサッドブッディ(良い知性)をその帰依者に保証します。彼女の恩寵を得るために帰依者はマントラ・ジャパを始めるべきです。

76. Viśukra-prāṇa-haraṇa-vārāhī-vīrya-nanditā ヴィシュクラ・プラーナ・ハラナ・ヴァーラーヒー・ヴィールヤ・ナンディター

意味)女神ヴァーラーヒ(ダンダナータ)は悪魔ヴィシュクラを打倒し、聖なる母はおおいに歓喜しました。

ヴィシュクラは人の生命力を吸い取る悪魔です。ヴィシュクラはサンサーラ(輪廻転生)へのもつれを引き起こし、人を聖なる光から遠ざけ続けます。
女神ヴァーラーヒは彼とその家族、つまりバンダースラの姉妹のアーマニ、その夫のケーカースラ、その八人の息子を打倒しました。
このことから、この母は志向者の精神的な不純性を破壊するということが理解できます。

77. Kāmeśvara-mukhāloka-kalpita-śrī-ganeśvarā カーメーシュヴァラ・ムカーローカ・カルピタ・シュリー・ガネーシュヴァラー

意味)至高の母が主カ―メ―シュワラを見ると、その一瞥からガネーシャがが生まれたました(カルピタ)。

カ―メ―シュワラは永遠の遍在者パラブラフマーであり、常に至高の母の知性の中に住んでいます。
第75の名で討議したように、悪魔たちはジャヤヴィグナと呼ばれるヴィグナ・ヤントラ(秘教的象徴形)を創造し、それはデーヴァタ(神々)の勝利を阻害するものでした。ガネーシャは障害の主であり、そのため彼を生み出すことが必須でした。
ガナパティは全ての存在のムーラダーラにいて、それは全ての存在の主要な支え(ムーラ・ブータ)です。第75の名で詳述されたように、ガネーシャの創造は悪魔であるヴィシャンガとヴィシュクラ破壊に先立って行われました。しかし、詠唱する際の順序(パラヤナ・カルマ)は異なり、彼の誕生がここで言及されています。
ここでガネーシャが創造されたとするならば、至高の母が沐浴するときに彼が創造されたという話は本当なのでしょうか?そうです、後になってそれもまた行われました。彼はそのときに創造されました。しかし、まず、これらの悪魔を破壊するために彼は創造されなければなりせんでした。しかし、ここでは彼は防具(カヴァチャ)の種字語(ビージャクシャラ)の姿で現れました。『ガネーシャ・カヴァチャム』は述べています。

Beejapura gadeshukārmukaraja chakrabja …
ビージャプラ・ガデーシュカールムカラジャ・チャクラブジャ…

彼はビージャクシャラ(種字語)の姿で現れ、帰依者の人生の霊的探求(サーダナ)に生じる障害を破壊します。それは彼が無知(アジュニャーナ)と呼ばれるヴィグナ(障害)を破壊していることを意味します。

78. Mahāganeśa-nirbhinna-vighna-yantrā-praharśitā マハーガネーシャ・ニルビンナ・ヴィグナ・ヤントラー・プラハルシター

意味)彼女はガネーシャがヴィグナ・ヤントラを粉砕すると歓喜しました(前の名の続き)。

ガネーシャは障害の主です。錯覚に完全に浸っている人々の道に障害を置くのは彼です。その同じ主ガナパティが、真に霊的な道にいる人々、あるいは真の崇敬の念を持つ人々の障害をいとも簡単に除去します。

79. Bhandāsurendra-nirmukta-śastra-pratyastra-varśinī バンダースレーンドラ・ニルムクタ・シャストラ・プラテャストラ・ヴァルシニー

意味)バンダースラが放った武器に対抗して、彼女は武器を彼に投げつけています。

ここが戦争の山場です。これは無知(アジニャーナ)と知識(ジニャーナ)の直接の戦いだと理解されるべきです。
アストラ(武器)は、マントラの詠唱によって生じる力・エネルギー(マントラ・シャクティ)のことです。至高の母はマントラを彼女の武器として使っていました。彼女のマントラの詠唱によって、バンダによって放たれた武器は自動的に破壊されました。
『マハーバーラタ』において、アシュヴァッターマはブラフマーストラ・マントラを込めた草の葉を放ちました。この小さな草の葉はマントラから力を得て、想像し難い破壊をこの宇宙に引き起こす力を持つものに変わりました。『プラーナ』の物語を読むと、聖者が水を使って呪ったりしますが、それは彼らが水をマントラの力で満たしたことを意味しています。マントラはいろいろなもの、武器、草、ハルディ(ウコン)、クムクム、アクシャタ(ウコンやクムクムと混ざった米)などに込められます。それらは自然とマントラのエネルギーの導体となります。

80. Karāṅguli-nakhotpanna-nārāyaṇa-daśākṛtiḥ カラーングリ・ナコートパンナ・ナーラーヤナ・ダシャークリティヒ

意味)彼女の指の爪(ナカ)の先から、ダシャアヴァターラ(ヴィシュヌの十の化身)が現れました(ウトパンナ)

マハーヴィシュヌの十の化身は、もっと後の時代に起こったことだという疑問があるかもしれません。しかしバンダースラは普通の悪魔ではありませんでした。彼は過去だけではなく未来の知識も持っていました。
どうして悪魔バンダは未来の知識を持っていたのでしょうか。未来は過去の中にあります。毎回の創造の周期において、同じ出来事が繰り返されます。これら全ての化身は過去の創造・時代に行われたことなのです。『ヨーガ・ヴァシシュタ』はこの違った創造における繰り返しという主題の詳細を扱っています。個人における五つの存在の状態(目覚め、夢見、熟睡、その他)や神の五つの仕事(創造・維持など)で合計が十であり、つまりダシャークリティヒです。

続く

⇒ラリタ・サハスラナーマ目次
※シュリ・スワミジによる『ラリタ・サハスラナーマ』の詠唱アプリはこちらです。
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