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ラリタ・サハスラナーマの名の意味171~180

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171. Lobhanāśinī ローバナーシニー

意味)彼女は信奉者の貪欲・強欲の性質を破壊します。

172. Niḥsaṃśayā ニヒサンシャヤー

意味)彼女に疑いはありません。
疑いはサンシャヤと呼ばれます。完全な真我の知識を持つ人は何も疑いを持ちません。

173. Saṃśayaghnī サンシャヤグニー

意味)彼女は信奉者の心にある疑いを細断します。
「ウパニシャッド」は述べています。

Bhidyate hridaya-granthis chidyante sarva-samśayah
kśiyante casya karmāṇi mayi drishte ’parāvare
ビディヤテー フリダヤグランティス チディヤンテー サルヴァサンシャヤハ
クシヤンテー チャスヤ カルマーニ マイ ドゥリシュテー パラーヴァレー

意味)サーダカ(霊性修養者)が直接「私」を全ての生類のハートに宿るパラマートマンとして見るとき、ハートの結び目が切断され、疑いの全ては細断されます。その瞬間までに行われた悪いカルマの全ては完全に無効化されます。

ハートにある結び目(フルダヤ・グランティ)は様々なサンシャヤ(疑い)を表します。そのような結び目が細断されるとき、人は絶対的な純粋さ(ニルマラ、シュッダ)を授けられます。そのような状態が主を見ることによって達成されます。しかし、主を見るための正しい努力は私たち次第です。

174. Nirbhavā ニルバヴァー

意味)彼女には誕生(ジャンマ)がありません。

バヴァはサンサーラの同義語です。サムサーラは一般的に配偶者、子どもたち、財産、仕事、その他の世俗的生活に私たちを束縛する様相です。しかしサムサーラはこれらに留まりません。サムサーラはは、サム+サーラハに分割できます。サーラハは「流れ」です。「サムサーラ」は「とめどない流れ」を意味します。

とめどない流れを持つ唯一の様相は、一つの誕生からもう一つの誕生へと際限なく続く流れとしての「誕生(ジャンマ)」であり、これが本当のサムサーラです。

聖なる母は永遠であり、このサムサーラ(バヴァ)を超えています。

175. Bhava-nāshinī バヴァ・ナーシニー

意味)彼女はバヴァ(サムサーラ)を破壊します。つまり彼女は信奉者を生と死のサイクルから引き上げます。

176. Nirvikalpā ニルヴィカルパー

意味)彼女には変化がありません。

これがプラブラフマーのもっとも主要な性質です。

「ヴィカルパ」は「状態の変化」です。至高の主、パラブラフマーはどんな状況でも本来の状態から逸脱することなく、そのためニルヴィカルパです。

もう少し意味を掘り下げてみましょう。

Shabda anupāti vikalpah シャブダ アヌパーティ ヴィカルパハ
これは、音は本来意味を持ちませんが、それを聞くことによって心に起こる変化について言及しています。

ある音は私たちに恐怖、動揺、混乱、阻害をもたらします。例えば、突然の雷鳴は恐れを引き起こします。同様にある音は喜びを生み出します。ある言葉は、それが精神的階層に変化を起こしたとしても無意味です。「うさぎの角」を表す「シャシャ・ヴィシャーナハ」という語について考えてみましょう。それはありえないものですが、心に想像(ヴィカルパ)を生み出します。このように私たちから生まれ、心に変化を生み出すことができる無意味な言葉があります。これらの動揺、恐れ、喜び、想像、騒乱などは精神的階層に映し出される変化であり、ヴィカルパです。これら全てはヨーガと深い関係があるテーマです。

全てのこれらの変化(ヴィカルパ)は心を阻害し、霊的進歩を阻みます。志向者は言葉が聞こえても、それを聞かないでいることができる段階へ到達するべきです。それは交通の音やテレビの音など不必要な音を聞かないことも含みます。これがニルヴィカルパの状態です。ニルヴィカルパ・サマーディという言葉を聞いたことがないでしょうか?
至高の母はこれらのヴィカルパを超えているので、ニル・ヴィカルパです。

177. Nirābādhā ニラーバーダー

意味)彼女は不滅です。ここでは不滅である至高の知識(ジュニャーナ)に言及しています。

アバーダは破壊です。無知の縄は破壊へとつながる妄想に私たちを縛ります。海岸を歩いていた人が突然遠くで輝く銀の鉱石を見つけた例をみてみましょう。その輝きに惑わされ、期待と願望をもってそこに向かって走っていきますが、それがただの太陽の光で輝く貝殻のかけらにすぎないと気づきます。これは無知によって引き起こされる妄想の例です。このような知識は破壊されるものです。

このような無知と錯覚を超えて、彼女は自身のなかに破壊されない至高の知識を持っています。さらに彼女はそのような迷妄と錯覚を洗い流す不滅の知識を私たちに芽生えさせます。

178. Nirbhedā ニルベーダー

意味)彼女は違いの感覚を持ちません。彼女は不二です。

これをさらに理解していきましょう。

聖なる母を表すのにもっともよくつかわれる名前はシャクティ、アーディシャクティ、パラシャクティです。シャクティ(エネルギー)には様々な種類があります。生命エネルギー(プラーナ・シャクティ)、知識のエネルギー(ヴィディヤ・シャクティ)、創造のエネルギー(スリシュティ・シャクティ)、心のエネルギー(マナス・シャクティ)、破壊のエネルギー(プララヤ・シャクティ)、維持のエネルギー(スティティ・シャクティ)などです。

私たちの内にある全ての良い性質は、主によって授けられたシャクティ(エネルギー)です。

一般的な状況では、エネルギーを渡す人、エネルギーを受ける人、そしてエネルギー自体は、違った三つの実体だとみなされます。聖なる母の場合は、彼女はエネルギーであり、彼女がエネルギーを渡し、受け取ります。違いが存在しないため、彼女はニルベーダです。シュリ・ヴィディヤに関連して、次の詩句を理解していきましょう。

śakti śaktimatōr bhedaṃ vadantya paramārtatah
abhedyam chānu paśyanti yoginas tattva darśinah ǁ
シャクティ シャクティマトール ベーダム ヴァダントヤ パラマールタタハ
アベーディヤム チャーヌ パシュヤンティ ヨーギナス タットヴァ ダルシナハ

意味)エネルギー(シャクティ)とそのエネルギーの所有者(シャクティマトール)を別々の実体だとみなすのは純粋に無知から生じます。至高の真髄(パラ・タットヴァ)の観点を心に置くと、そのような違いは存在しなくなります。この不二はヨーガを通してのみ見ることができます。

ニルベーダ(不二)はもっとも重要な教えの一つです。私たちの全ての聖典とウパニシャッドはこの真髄を教えています。それは無限と一つになるにあたって非常に重要な教えです。

179.Bhedanāśinī ベーダナーシニー

意味)彼女は信奉者にある違い(二元性)の感覚を破壊します。

違い(ベーダ)はさまざまなレベルで存在します。私たちは自分が他者と分離した存在だと信じています。同様に神からも離れていると信じています。これらの信条によって、私たちは他者よりも自分が優れていると想像します。これらすべての違いを克服する必要があります。これを克服すること自体が、ヨーガの道における重要な一里塚です。これに達すると私たちはニル・ベーダの状態になります。至高の母は慈悲によって私たちにその成就を祝福します。

180. Nirnāśā ニルナーシャ

意味)彼女は不滅です。彼女は永遠です。

不二の原則と真に深く同化し、不二の状態に達すると、その人は自身の不滅の性質を理解します。これがニルナーシャです。

続く

⇒ラリタ・サハスラナーマ目次
※シュリ・スワミジによる『ラリタ・サハスラナーマ』の詠唱アプリはこちらです。
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