ブログ

ラリタ・サハスラナーマの名の意味221~230

カテゴリー :

221. Mahā-vīryā マハー・ヴィールヤー

意味)彼女は武勇と強さ(ヴィ―ルヤ)において卓越しています。

聖なる母の弟子の中で傑出しているのはマンマタ(欲望の主)です。この神は私たちの心を扇動し、私たちに欲望、思い、意図(サンカルパ)、疑い(ヴィカルパ)を引き起こします。彼は私たちを支配しています。どれだけ強力な世界の皇帝であってもマンマタ神には敵いません。マンマタ神は皇帝の心も扇動し破壊を引き起こすからです。聖なる母はこの最強のマンマタ神も支配しています。

『ソウンダルヤ・ラヒリ』の詩句は次のように説明しています。

Dhanun paushpam maurvi madhu-kara-mayi pancha visikha
ダヌン パウシュパム マウルヴィ マドゥカラマイー パンチャ ヴィシカ

「欲望の神は聖なる母の軽い一瞥だけで力を与えられる」という意味です。
彼女のエネルギーと強さを描写するのにこれ以上に良い説明が必要でしょうか?実際のところ、マンマタを媒介としてこの創造を支配しているのは彼女です。

222. Mahā-balā マハー・バーラー

この名は二つの意味を持ちます。
1)彼女は最大の強さ(バーラー)を持ち、私たちの体を必須な強さで満たします。
2)彼女は動物や鳥にも解放を与えます。

バーラーには「カラス」という意味もあります。『ヨーガ・ヴァーシシュタ』には「カカブシュンダ」の物語があります。カカブシュンダはカラスです。彼には二十一人の兄弟がいました。何人かは白鳥で何人かはカラスでした。彼ら全員が「ブラフミーウパーサナ」を行っていました。「ブラフミームフールタ(早朝の吉祥の時刻)」に鳴くカラスや鶏は、ブラフミーウパーサナを行っていると言われます。
 このブラフミームフールタは、「サラスワティムフールタ(サラスワティの吉祥の時刻)」です。この時間に学習をする人は良い記憶力と知性で祝福されると言います。その時刻までに起床していることが生徒には義務づけられています。その時、ブラフマーのエネルギーであるサラスワティが動き回ります。
カラスが鳴くのはマントラの詠唱です。絶え間ないブラフミームフールタの礼拝によって、カカブシュンダはだんだんと解放されていく祝福を受けました。この物語の要約は、すべての動物と鳥たちもまた彼女によって解放の祝福を受けるということです。

223. Mahā-buddhih マハー・ブッディヒ

意味)彼女は知性と英知の典型です。

『バガヴァッド・ギーター』の「ヴィブーティ・ヨーガ」でクリシュナは「ブッディル・ブッデイマターム・アスミ(私は偉大な知性を持つ人の知性である)」と述べています。

彼女は全ての存在の中の知性(ブッディ)です。私たちは彼女が私たちの知性にやってきて住まうことを祈るべきです。

224. Mahā-siddhih マハー・シッディヒ

意味)彼女はもっとも偉大、あるいはもっとも至高であるシッディ(成就)の宝庫です。

彼女が持つもっとも至高の成就とは何でしょうか?

一般的に人は空を飛んだり、火の中に立ったり、複数の場所に同時に現れたりする力の獲得をシッディ(成就)とみなします。そのような成就は、それ自体が目的ではありません。偉大なマハートマたちはそのような成就を純粋に一般的な人々の中に霊的進歩への願望を培い、聖なる道に魅了するためだけに表します。

シッディ(成就)はスティタプラジュナ(意識・心がもっとも強い扇動から自由である状態)の静寂な状態を引き起こします。これがヨーギーが求める最大の成就(マハー・シッディ)です。

アシュタミー(第8日目)に「アナガ・ヴラタ・プージャー」が行われるとき、「アシュタ・シッディ(8つの超常的成就)」が勧請され、アナガ・スワミとアナガ・デーヴィーと一緒に礼拝されます。8つの超常的力(アシュタ・シッディ)は、アナガ・スワミとアナガ・デーヴィーの周囲に彼らの子どもとして配置されます。

「アナガ」は罪を破壊するエネルギーです。その名は彼がすべての形の罪を超えていることを表しています。それらを礼拝することは信奉者に8つの超常的力を祝福します。
アシュタミ(第8日目)は月の暦の中で私たちに8重の性質を生み出す日です。8つの超常的な力(アシュタ・シッディ)について簡潔に見ていきましょう。

Anima, mahima chaiva garima laghima tatha
Praaptih praakāmya īshatvam vasitvam chāstha siddhayah
アニマ マヒマ チャイヴァ ガリマ ラギマ タター
プラプティヒ プラーカームヤ イーシトヴァム ヴァシトヴァム チャーシュタ シッダイェー

a) アニマ
Rasānām swata ullasaha prathamā siddhi reerita
ラサーナーム スワタ ウッラサハ プラタマー シッディ リーリタ

全ての存在は生来的に心に喜びをもたらし魅了する味(ラサ)をいくつか持っています。例えば目の前にお気に入りの料理が置かれると、口の中がわくわくします。心を統御(ニヤントラナ)し、魅力や嗜好に追われないようにするのが最初のシッディ(成就)です。この成就がなければ、さらなる到達点へと進むことはできません。

b) マヒマ
Dvandvai ranabhi bhootischyā dviteeya siddhi reerita
ドヴァンドヴァイ ラナビ ブーティスチュヤー シッディリーリタ

ドヴァンダは二重性を表す概念です。二重性の状態を超越し、葛藤のない状態でいることが第二の成就です。

c) ガリマ
Adhamotamata bhavaha truteeya siddhi ruttamā
アダモータマタ バヴァハ トゥルティーヤ シッディルーッタマー

人々の違いを超え、もはや人を良い悪い(ウッタマとアダマ)、大小で区別しないことが第三の成就です。

d) ラギマ
Chaturthi tulyatā teshām ayusha sukha dukha yoh
チャトゥルティ トゥルヤター テーシャーム アユーシャ スカ ドゥッカ ヨーホ

第四の達成は第三の延長です。誰もを同様に扱い、全ての存在に宿るハートを見て、その見解に均衡がある状態を達成することです。これが第四の超常的力です。この段階では、精神的に喜びと悲しみ(スカ・ドゥッカ)を超越した状態である必要もあります。

e) プラープティ
Kanterbalasya bāhulyam vishokā nāma panchami
カンテールバラスヤ バーフルヤム ヴィショーカー ナーマ パンチャミー

精神的な強さ(マノー・バラム)が達成されます。この時に初めて内なる灯りに火がつきます。

f) プラーカムヤム
Paramātma paratvena tapo dhyānādi nishthitā
パラマートマ パラトヴェーナ タポー ディヤーナーディ ニシュティター

次の成就の段階です。宇宙の全てが神の形態であるという確固とした完全な信念です。私たちの内にある彼のエネルギーが全ての原因であるという信念を持たなければなりません。そのような信念とともに絶え間ないディヤーナ(熟考)ができるべきです。

g) イーシトヴァム
Nishkāma chāritvam saptami siddhi ruchyate
ニシュカーマ チャーリトヴァム サプタミー シッディルッチャテー

第七の成就はニシュカーマ・カルマ(もっとも高揚させる欲望すらも持たない行為)の実践にあります。瞑想(ディヤーナ)すらも欲望がない(ニシュカーマ)状態で行うべきです。

h)ヴァシシュトヴァム、カーマーヴァサーイタ
Ashtami cha tathā proktā yatra kvachana shayite
アシュタミー チャ タター プロークター タトラ クヴァチャナ シャイテー

最後の成就はカーマーヴァサーイタです。これはどのような種類の欲望も終わっていることを意味します。心はどんな好悪も持たずに、その環境を受け入れなければなりません。このスティタプラジュナの状態がマハー・シッディです。

225. Mahā-yogeśwareśwarī (or Mahā-yogeśwarī) マハー・ヨーゲーシュワリーシュワリー(またはマハー・ヨーゲーシュワリー)

意味)彼女は最も卓越したヨーガを支配し統御する皇后(イーシュワリー)です。あるいは最も偉大なヨーギーたち(苦行者や聖者)の全てを支配する皇后です。

マハー・シッディの段階を越えて初めて、マハー・ヨーガの状態に進むことができます。

『バガヴァッド・ギーター』の最終節は述べています。
Yatra yogeshwarah krishno yatra partho dhanurdharah.
ヤトラ ヨーゲーシュワラハ クリシュノー ヤトラ パルトー ダヌルダラハ

ここでクリシュナが「ヨーガの主(ヨーゲーシュワラ)」として言及されています。クリシュナは完全な化身(プールナ・アヴァターラ)です。彼の教えである『バガヴァッド・ギーター』は絶対者の歌です。至高の母がクリシュナの姿で化身したことを表すために、クリシュナはトリバンギという女性的な姿で立っています。トリバンギは、首、腰、膝をくねらせ、なだらかなS字型をした姿です。さらに、クリシュナと至高の母を礼拝するための種字語(ビージャークシャラ)は同じ一つのものです。

226. Mahā-tantrā マハー・タントラ

意味)彼女自身がもっとも偉大なタントラです。

彼女は「シュリー・ヴィディヤ・タントラ」を含む全てのタントラの真髄です。それは知識が伝達されるための全ての媒体を含んでいます。

『チャンディ・シャプタシャティ』には、至高の母が知識の姿(ヴィディヤ・ルーパ)として称賛されています。

Yā devi sarva bhuteśu vidyā rūpena samsthitha
Namastasyai namastasyai namastasyai namō namah
ヤー デーヴィ サルヴァ ブーテーシュ ヴィディヤー ルーペーナ サムスティタ
ナマスタスヤイ ナマスタスヤイ ナマスタスヤイ ナモー ナマハ

私たちを教える書物や人々、私たちに知識を分かち合う人々は敬意を受け、敬われなければなりません。彼らは目に見える姿で現れた知識だからです。書籍はアルファベット(アクシャラ)を含んでいます。知識が伝えられるのは、アルファベットを通してです。

227. Mahā-mantrā マハー・マントラ

意味)彼女はもっとも偉大なマントラ(マハー・マントラ)であるプラナヴァ・マントラ(オームカーラ)です。

228. Mahā-yantrā マハー・ヤントラ

意味)彼女はもっとも偉大なヤントラであるシュリー・ヤントラです。
シュリー・ヤントラは同心円状の平面幾何学模様のシュリーチャクラです。シュリー・ヤントラとしての彼女を礼拝するのは非常に聖なることです。

229. Mahāsanā マハーサナー

意味)
1)彼女はもっとも偉大な王座(マハー+アーサナ)に座っています。彼女は「シュリーマト・シンハーサナネーシュヴァリー(第3の名)」です。
2)この創造の基礎原理(タットヴァ)である「マハト」が彼女の座(アーサナ)です。

基礎原理(タットヴァ)であるマハトは、基礎である五大元素(パンチャ・マハー・ブータ)の創造を含んだ全創造の根源です。マハトに座っていることを通して彼女が全創造を超えていることを教えています。

230. Mahā – yāga-kramārādhyā マハー・ヤーガ・カルマーラーディヤー

意味)彼女はマハー・ヤーギャ(もっとも偉大なヤーギャ・犠牲)の過程によって礼拝されるべきです。マハー・ヤーギャはシュリーチャクラのアンタル・ヤーギャ(内なる礼拝)です。彼女の見解では、これが至高のヤーギャです。

この創造の全ては生来的に至高の主に属します。私たちは実際は彼のものであるものを彼に捧げるだけです。そのためプージャーにおいて捧げものをするとき、深い愛の感覚を持ち捧げることがもっとも重要です。私たちの内にホーマの炉があり、そこに捧げものがなされるという強く深い感覚も持つべきです。犠牲は精神的な階層で行うことができます。それはアンタル・ヤーギャ(内なる礼拝)を構成します。

続く

⇒ラリタ・サハスラナーマ目次
※シュリ・スワミジによる『ラリタ・サハスラナーマ』の詠唱アプリはこちらです。
APP Store

PAGE TOP