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シュリーマド・バーガヴァタム 第202話

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ドゥルヴァは考えました、「私は世俗の束縛を断ち切ってくれる主の蓮華の御足に到達した。だが、己の愚かさのために、つかの間の地位を求めて神に祈ってしまった。

私が到達しようとしている星(北極星)は、神々が住まう天界の惑星よりも高位にある。神々は積み上げたプンニャ(功徳)が尽きると、天界から追い出される。ゆえに、彼らは私が高位の惑星に到達することを羨ましく思って、私の知性を害したのだ。だから、愚かなことに、私はナーラダ・マハルシからの貴重な忠告を捨て去ってしまったのだ。

私は、シュリハリの幻想(マーヤー)にすっかり惑わされてしまった。人は真実からかけ離れていたとしても、夢の中で見るものを別個の実体だとみなす。実際は、真我から分離したものは何一つない。同様に私は完全に惑わされていたために、自分の兄弟を敵だと思ってしまった。この間違った考え方のために、私は苦しんでいる。よって、私の努力は完全に無意味なものになり、それは死体に治療を施すようなものだ。

シュリハリは、この宇宙全体の真我(アートマ)である。主を喜ばすことは、一番大変な仕事だ。シュリハリは世俗の束縛を断ち切ってくれる神だ。幸いなことに、私は苦行を行って主を喜ばすことができた。しかし、頭が鈍っていたために、消えゆくものを神に求めてしまった。世俗の束縛を求めてしまったのだ。

Svārājyaṁ yacchato mauḍhyān māno me bhikṣito bata
Īśvarāt kṣīṇa-puṇyena phalī-kārān ivādhanaḥ

イーシュワラは、私たちに解放を祝福してくれる。プンニャが尽きてしまったために、愚かにも、私は己のエゴを増長するにすぎない究極の地位を祝福してくれるように神にお願いしてしまった。どんな望みでも叶えることができる金持ちに向かって、米粒を恵んでくれという乞食のようだ。」

マイトレーヤ・マハルシは続けました、「愛する息子ヴィドゥラよ、欲望から解き放たれたあなたのような純粋な信奉者は、主の恩寵で手に入れたものは何であれ満足します。シュリハリは、解放を授けてくれる神です。主の蓮華の御足に奉仕するあなたのような信奉者は、己のためには物質的利益を欲しがりません。彼らは、主の蓮華の御足に奉仕することだけを求めるのです。

死人が生き返ると信じる者などいません。同様に、ウッタナパーダ王は、息子が家路に向かっているという使者の言葉を信じることが出来ませんでした。王は「私は惨めな愚か者だ。自分にこんなに良いことが起こるはずがあろうか?」と思っていました。

しかし同時に、王はナーラダ・マハルシの言葉を思い出しました。彼はマハルシの言葉を信じて、息子が本当に家に帰ってくることを理解したのです。彼は抑えきれないほどの喜びを感じて、飛びはねました。そして、この吉報を届けてくれた使者にすばらしい真珠の首飾りを褒美として授けました。

王は心配して、息子の顔を見たくて仕方ありませんでした。そして、見事な馬に引かれた金色の戦車に即座に乗り込むと街を出発しました。司祭、ヴェーダの学者、親戚、その他大勢の有志の人たちを伴った王の行列は、豪華絢爛なものでした。

国民はドゥルヴァの到着を祝って、法螺貝、太古、笛、ケトルドラムを演奏しました。ヴェーダの学者たちは、声高にヴェーダの賛歌を唱え始めました。王妃のスニーティとスルチは、金色の宝石で着飾っていました。そして、御輿に腰かけて、ドゥルヴァを迎える行列に加わりました。

ドゥルヴァは遍在する主シュリハリの神聖な蓮華の御足に触れたため、今や完全に全ての物質的束縛から解放されていました。

ウッタナパーダ王は、遠くの方から息子が近くの森に向かって近づいてくるのを目にしました。王の心は、この何か月間、息子に会いたくて苦しんでいました。その思いは強烈であったため、彼は戦車から降りて息子の方へ駆け寄っていき、両腕で優しく抱きしめました。それはまるで、長い間、お預けの状態にあった願いがまさに実現したかのようでした。王は息子の頭に何度も口づけして、体をさすってあげました。そして、目からは喜びの涙が流れ落ちて、息子はずぶ濡れになってしまいました。

ドゥルヴァは高潔な人の中でも一番の存在です。彼は完全に謙虚でした。彼は父親の前にひれ伏しました。父親は彼に祝福を与えて、息災を尋ねました。その後、ドゥルヴァは二人の母親の方に行って、敬意のお辞儀を捧げました。

義理の母親のスルチは、彼女の前で敬意のお辞儀をした息子を優しく抱き上げました。彼女は少年を慈しみ深く抱きしめ、声を詰まらせて「長生きしますように!」と祝福を与えました。彼女の目からは、幸せの涙が流れ落ちていました。

水が下へ流れていくのが自然であるように、人は主シュリハリに完全に祝福された人を自然と尊敬するものです。かつてはドゥルヴァを軽蔑していたスルチですが、今や、彼に愛と祝福を注いでいました。

ウッタマとドゥルヴァの兄弟は、抱き合って喜びの涙を流しました。二人とも感動によって総毛だっていました。

母親のスニーティは、己の命よりも大事な息子を腕の中に抱きしめました。彼女は完全なる喜びに浸り、心の中にあった悲しみは完全に消え去ってしまいました。彼女はすばらしく高潔な母親だったので、喜びの涙で濡れた胸からは乳が流れていきました。そして、ドゥルヴァはずぶ濡れになってしまいました。

続く

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