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シュリーマド・バーガヴァタム 第213話

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マハルシたちは考えました、「我々はヴェーナを国王に任命した。彼は国民を守らず危害を与えている。それでも、彼にもう一度、チャンスを与えようではないか。彼のところに行って、忠告しよう。そうすることによって、少なくとも我々は、彼が犯した罪とは無縁でいられるだろう。

我々は彼が邪悪であることが分かっていたけれども、事を進めて彼を国王に任命した。彼は不正義の道を歩んでいる。さあ、彼に忠告を与えて、正しい道に戻そうではないか。」

自分の知り合いが罪深い/不道徳な行為に関わっていることを知ったとしましょう。非難を恐れてその人を正そうとしなかったら、あるいは、己の身勝手な願望を叶えるためにその人が間違った道を歩むのを許すならば、私たちは過ちを犯していることになります。それによって、その人の罪の一部が、彼を正そうとしなかった人に移ります。その代わりに勇気を出してその人に忠告する、あるいは、己の身勝手な願望を捨てて彼を正そうと努力するならば、その人の罪が自分に移ることはありません。これはダルマ・シャスートラです。

聖者方も同じ思いでした。彼らはヴェーナが極悪な行為をしているのをただ見ていることによって、己の罪を増やすことに同意していたのです。ですから、聖者方はヴェーナに忠告を与えて、罪から放免されるという判断に至りました。

「人々から見捨てられれば、ヴェーナは死人同然である」と、彼らは思いました。「それゆえに彼が我々の忠告に耳を貸さないのであれば、我々の光輝の力を使って彼を灰にしてしまおう」という結論を出しました。

偉大な聖者方が怒りを表に出すことはありません。彼らは結論に達すると、連れ立ってヴェーナのところへ行きました。彼らは怒りを見せることなく、最初に喜ばしい言葉をかけて、彼を喜ばせました。それから言いました、

「おお皇帝よ!私たちはちょっとしたお願いがありまして、こちらに参りました。もし私たちの忠告に従ってくださるならば、あなたの長寿、名声、力、繁栄は倍増するでしょう。ですから、どうか、注意深く聞いてください。

Dharma ācaritaḥ puṁsāṁ vāṅ-manaḥ-kāya-buddhibhiḥ
Lokān viśokān vitaraty athānantyam asaṅginām

人は、知性によって正義(ダルマ)の原理をはっきりと理解しなければなりません。そして、身口意を完全に浄化して、一生懸命に正義の原理に従わなければなりません。厳格にこれに従う人は、今生でも来世でも、いかなる悲しみに遭遇することはありません。また、ダルマは、物質的な楽しみに無執着な人や自分勝手な態度をしない人を解放へと向かわせてくれるのです!

おお勇敢なる王よ!国民が享受する満足感と安全は、国王の正義の度合いを証明してくれます。そのようなダルマがあなた様から決して尽きることがありませんように!このダルマに従わない王は、権力と富を失って落ちぶれていくことでしょう。

国王は武装強盗団や邪悪な心をした大臣から国民を守りつつ、国民から正当に税金を徴収しなければなりません。この原則に従う国王は、今生でも来世でも、快適さを享受することでしょう。

国王は、首都だけでなく、その以外の都市においても、国民が己に相応しいダルマ(スワダルマ)を守ること、割り当てられたダルマを一生懸命に完了すること、そして、ヤグニャの権化であるシュリハリを崇拝するようにしなければなりません。これを見事に達成する国王は、神の命令に従うことになるのです。

全生命体を支配するシュリハリは、全ての存在のハートに中に真我として宿っています。主シュリハリは、主の命令に責任感をもって従っている国王に非常に喜ばれます。シュリハリは、全世界を司る神です。彼はまた、全世界の守護神を統べる神です。そのような至高の主が喜ばれる時、信者に達成できないものは何もありません。なぜなら、守護神を含めて、全生命体が、主シュリハリを献身的に崇拝しているからです。ですから、主が喜ばれる時、ありとあらゆる物事を達成することができるのです。

おお国王よ!ヴェーダの権化であり、ヴェーダの中で非常に賞揚されているシュリハリは、全世界、その守護神、そして、それを執り行う者に果報を授けてくれるヤグニャの儀式を適切に動かしています。神はヤグニャを執り行うための全ての材料の中に存在しています。苦行もまた、神の顕現なのです!

おお国王よ、あなたは、皆が数多のヤグニャを行って、主シュリハリを崇拝したから誕生したのです。神こそが、あなたの繁栄の原因であるのです。ですから、あなたの臣下の者たちのように、あなたもまた、神を敬愛しなければなりません。

おお国王よ、どうか、主シュリハリのヤグニャが全国で執り行われるようにしてください。そうすれば、あなたは吉祥によって祝福されるでしょう。

おお勇敢なるお方よ!あなたの王国では、ヴェーダに精通するブラフミンは、ヤグニャの儀式を執り行って、至高の主シュリハリの化身以外の何者でもない神々の全てを一生懸命に崇拝しています。祈りに満足した神々もまた、あなたの願望を実現してくれます。ですから、あなたがシュリハリや神々を嫌うというのは、正しい行為ではありません」と、聖者方は言いました。

するとヴェーナは答えました、「なんとおかしなことだろう!あなた方は、不正義を正義だと思っている。疑いようもなく、あなた方は皆、愚か者だ。私はあなた方の生活を世話している。あなた方の胃袋を満たしている。今、あなた方は、自分たちの統治者である私を切り捨てて、他の統治者を称賛しているのだ。必要なものを世話してくれる夫を捨てて、愛人を求める女性のように、あなた方は私を捨てて別の統治者に仕えているのだ。私に言えるのは、あなた方は愚か者であるということだけだ。

あなた方は、国王として目の前にいる、私という、あなた方にとっての神を拒否したのだ。そのため、あなた方は、今生でも来世でも、いかなる吉祥を手にすることはないだろう。あなた方が幸せになることはない。あなた方の言う、ヤグニャの権化である神とは、誰のことか?

ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ、インドラ、ヴァーユ、太陽、雲、月、クベーラ、土、火、水、その他の神々は賜物を与えることもできれば、呪いから解き放つこともできる。こうした神々は、国王の体の中にいることが分かっているのか?国王は全ての神々の権化である。国王こそがパラブラフマーである。

おおヴェーダの学者方よ、これが分かったら、嫉妬しないで、これからはあなた方の行動の全てにおいて私を崇拝することだ。私がシュリハリだ。私があらゆる生命体の神なのだ。」

このように、知性のないヴェーナは、聖者方だけでなく、ヤグニャの中にいる至高の主のことも侮辱しました。

アニルッダーヤ・ナマハ

続く

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