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シュリーマド・バーガヴァタム 第214話

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ヴェーナは続けました、「ヴェーダの学者方よ、私がパラブラフマーなのだから、これからは私を崇拝せよ。この宇宙に創造においては、私以外の誰も、ヤグニャの供物を受け取るに値する人はいない。」

ヴェーナは罪人でした。彼の心は汚れていました。彼の知性は完全に幻想に覆われていました。誤った道を歩むことによって、彼のプンヤ(功徳)は完全になくなってしまいました。このため、マハルシたちからの度重なる要請にも関わらず、ヴェーナは彼らの願いを叶えませんでした。実のところ、忠告に耳を傾けることすらしませんでした。彼は自らを熟達した学者であると思い続けて、マハルシたちを侮辱しました。

マハルシたちは、このことに非常に腹を立てました。彼らは思いました、「彼は最悪の罪人だ。生来、邪悪なのだ。彼は殺されるに値する。彼が生きていることを許せば、遠からずして王国を完全に滅ぼしてしまうだろう。この邪悪な男に王座はふさわしくない。恥じることもなく、彼は、全ての生命体の神であり、ヤグニャの権化である、至高の主のシュリハリを非難している。この罪人はシュリハリの恩寵で王座に就いて権力を享受しているのに、そのシュリハリを非難しているのだ。ヴェーナを除いては誰も、このような罪深い態度をとることはできない。」

彼らは全会一致で、ヴェーナの死を決断しました。シュリハリを非難するという罪を犯したのですから、彼は死人も同然でした。それまで抑え込まれていた彼らの怒りが、今や全てのバリケードを壊して、ものすごい勢いで完全に出てきました。そして、マハリシたちが発した「フームカラ」の音を聞いただけで、ヴェーナは死んでしまいました。

それから、マハリシたちは、それぞれの庵に帰っていきました。ところが、母親のスニータは、息子の死を深く悲しみました。彼女はマントラの力やそれ以外の方法を使って、息子の肉体を守り、腐敗していくのを防ぎました。

その一方、ある日のこと、マハルシたちはサラスワティ川で沐浴して、火の儀式を済ませました。彼らは川辺に腰を下ろして、至高の主の栄光を称え、語っていました。すると突然、この世界に恐怖をもたらす、たくさんの邪悪な兆しが現れました。

これに気づいた聖者方は、大きな不安を感じました。国王不在の王国の中で、何か不吉な騒動が勃発したのかと思ったのです。彼らがこうして話し合っていると、巨大な砂塵が見えてきました。それは何百もの武装強盗団によるものでした。彼らはあらゆる方角に散らばって、家々から略奪しては荒らしまわっていたのです。砂塵の勢いは物凄かったので、全てが覆われてしまいました。

ヴェーナが死んだことで、それまでおとなしくしていた武装強盗団が略奪を始めたのです。国中が混沌としていました。人々はお互いに侮辱し、苦しめ合っていました。このため、いたるところに不幸が生じていました。国内には無秩序が広がっていました。国民の気持ちは落ち込んでいきました。誰かに危害を与えられるのではないか、あるいは、何か大変なことが降りかかってくるのではないかと心配して、彼らは絶えず不安がっていました。

マハルシたちは、この様子を注意深く見ていました。彼らにはこの状況を正常に戻す力がありましたが、それをすると罪になるため躊躇していました。ですから、彼らは略奪を続ける武装強盗団を殺すことはしませんでした。直接的に国民を助けることはしなかったのです。

その代わりに、彼らは次のように決心しました、「平和を愛して主の遍在を理解する聖者が無力な者たちの苦しみを和らげることもなく、ただ黙っているとすれば、穴の開いた壺の中の牛乳のように聖者が行ってきた苦行は完全に流れ出てしまうだろう。それゆえに、我々はこの問題を解決しなければならない。

聖者の如きアンガ王の血統を絶やしてはならない。この血統にある王たちは皆、主シュリハリに全託している英雄だった。彼らの武勇は卓越したものだった。それゆえに、この血統を復活させようではないか。」

マハルシたちはこのように決意を固めると、王国の中心部にやってきて、死体となったヴェーナの太腿を力強くかき混ぜました。すると、その太腿から、背の低い小人の男の子が出てきました。彼は黒いカラスのような顔色をしていました。彼の肢体はとても短く、あごは広くて、赤い目をして、平べったい鼻をしていました。髪の毛は銅のような色をしていました。

この男の子は謙虚にお辞儀をしてから質問しました、「おおマハルシたちよ、どんな仕事をしたらよろしいでしょうか?」マハルシたちは、「ニシーダ」、つまり、「どうぞお座りください」と答えました。このため、彼はニシャーダと名づけられました。狩人たちの血統は全て、彼から生まれました。そして、彼らはニシャーダと呼ばれました。彼らは森や丘を歩き回りました。ニシャーダは生まれるとすぐに、ヴェーナの罪を全て引き受けました。

第四巻、第十四章はこれで終わりです。
第四巻、第十五章です。

この章では、マハルシたちがヴェーナの腕をかき混ぜて誕生したプリトゥと、彼の国王戴冠が描かれています。

マイトレーヤ・マハルシはヴィドゥラに言いました、「国王不在のため、王国は無秩序になっていました。規律と秩序を取り戻すために、マハルシたちは力を合わせて、ヴェーナの死体からその腕をかき混ぜました。するとその腕から、一組の夫婦が誕生しました。マハルシたちは、この夫婦が主シュリハリの部分的顕現であることを認識して、喜びました。

Eṣa viṣṇor bhagavataḥ kalā bhuvana-pālinī
Iyaṁ ca lakṣmyāḥ sambhūtiḥ puruṣasyānapāyinī

この男性は、この世界を統治するために誕生したシュリハリの部分的顕現でした。女神ラクシュミーは、至高の主である主シュリハリから決して離れることはありません。女神がこの女性として顕現しました。これは絶対的な真理です。

この男性は、数多の王の中でも最高の王になります。彼はプリトゥの名で知られるようになります。この女性は美しい歯と高貴な資質を兼ね備え、彼女が身につけている装飾品に美しさを添えることになります。彼女はアルチの名で知られるようになります。そして、プリトゥと結婚します。

Eṣa sākṣād dharer aṁśo jāto loka-rirakṣayā
Iyaṁ ca tat-parā hi śrīr anujajñe ’napāyinī

アニルッダーヤ・ナマハ

続く

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