ラリタ・サハスラナーマ21-30の意味
更新日 : 2019.12.10
カテゴリー : ラリタ・サハスラナーマ
21. Kadamba-mañjarī-klpta-karṇapūra-manoharā カダムバ・マンジャリー・クルプタ・カルナプーラ・マノーハラー
意味)彼女は耳のまわりにカダムバの花の房をつけています。
22. Tāṭaṅka-yugalī-bhūta-tapanoḍupa-maṇḍalā タータンカ・ユガリー・ブータ・ダパノードゥパ・マンダラー
意味)太陽と月は彼女のイヤリング(タータンカ)です。
耳のピアスの伝統的な重要性が精妙な形で強調されています。耳たぶに終着する神経が貫かれたり切られたりするとき、個人のプラーナシャクティ(生命のフォース)が増大し、その結果として長寿(アユシュ)がもたらされます。脳の鼻の神経が関連しているので、個人の内に知性(ブッディ)が芽吹きます。男性も女性も耳にピアスをするべきです。
『ソウンダリヤ・ラハリ』の第二十八詩節(シュローカ)において、アーディ・シャンカラは、シヴァがハラハラの毒を飲んだときにシヴァを救ったものとして聖なる母がつけている耳環(タータンカ)の偉大なる福徳(プンヤ・マヒマ)を賞賛しています。
女性による礼拝は夫の長寿と繁栄を増すと言われます。また女性がダルマ(正義・法・義務)に従うとき、ダルマは繁栄し、また女性がダルマを放棄すると、それは堕落すると言われます。
23. Padmarāga-śilādharśa-paribhāvi-kapolabhūḥ パドマラーガ・シラーダルシャ・パリバーヴィ・カポーラブーフ
意味)彼女の頬は、ルビー(宝珠パドマラーガ)の鏡よりも輝いています。
彼女の鏡のような頬は、個人の内にある良い性質と悪い性質の両方を映し出します。有名な詩句である『ダクシナムルティ・ストートラム』は「ヴィシュワン・ダルパナ・ドルシュヤ・ママ・ナガリ」(錯覚である世界全体は、鏡に映し出された街のようである)と述べています。
24. Navavidruma-bimbaśrī-nyakkāri-radanacchadā ナヴァヴィドゥルマ・ビムバーシュリー・ニャッカーリ・ラダナッチャダー
意味)人目をひく彼女の赤い唇は、サンゴやビンバの実よりも赤いものです。
25. Śuddha-vidhyāṅkurākāra-dhvijapakṅti-dvayojvalā シュッダ・ヴィディヤーンクラーカーラ・ドゥヴィジャパンクティ・ドゥヴァヨージュヴァラー
意味)上下に並んだ美しい彼女の歯は、あたかも最も優れたアートマ・ヴィディヤ(自己認識・真我実現の知識)が生えている(アンクラ)ようです。
26. Karpūravīṭikāmodha-samākarṣi-digantarā カルプーラヴィーティカーモーダ・サマーカルシ・ディガンタラー
意味)キンマの葉を噛んでいる彼女の口の芳香と匂いは、人々を彼女にひきつけます。
カルプーラ・ヴェーティカは、伝統的に食後に摂られるキンマの葉(パーン)の粉の製法です。適度に摂取すると消化に良いものです。
27. Nija-sallāpa-mādurya-vinirbhartsita-kacchapī ニジャ・サッラーパ・マードゥルヤ・ヴィニルバルトゥシタ・カッチャピー
意味)彼女の声は音楽的で、女神サラスワティの楽器ヴィーナ「カッチャピ」よりもはるかに甘い音色です。
カッチャピは普通のヴィーナではありません。それは英知の女神によって奏でられる楽器です。このヴィーナは話す力(ヴァク)と音楽(ナーダ)を全ての存在にもたらしています。そのような強力なヴィーナの音が至高の母の聖なる声に比べると色あせてしまいます!
学習の女神サラスワティは聖なる母にヴィーナの音楽を献上したことがありました。聖なる母は折にふれて、その音楽を言葉で賞賛しました。その聖なる母の音楽的な声を聞いて、女神サラスワティは彼女の奏でるヴィーナの音楽が消え去ってしまったように感じました。彼女は楽器をしまいこみ、聖なる母に言葉を話してほしいと要請しました。それは聖なる母の声のメロディーを楽しむためでした!
これと同じ意味のことが『ソウンダリヤ・ラハリ』の第六十六詩節(シュローカ)で語られています。
「ニジャ・サッラパ」はヴェーダを示唆します。ここで聖なる母の言葉がヴェーダの教えであることを理解する必要があります。
28. Mandasmita-prabhāpūra-majjatkāmeśa-mānasā マンダスミタ・プラバープーラ・マッジャトゥカーメーシャ・マーナサー
意味)彼女の笑顔・微笑みは主カーメーシャを圧倒します。それは彼と彼女を一つにします。
カーメーシャは至高のパラブラフマー(パラマートマ)を意味します。すべての意志(サンカルパ)の原因であり、意識(プラグニャ)を授ける存在であり、見て理解する力を私たちに与える者です。
至高の母の微笑みはパラブラフマーがそれと一つになるほどに深遠なものです。それまで動きがなかった(スターヌ)存在であるパラマートマは、今や彼女の微笑みと一つになっています。これが全創造の基礎になっています。つまり、この詩節の彼女の名前は、彼女は創造の基礎(ムーラ)であることを示しています。
29. Anākalita-sādṛśya-cibuka-śrī-virājitā アナーカリタ・サードゥルシュヤ・チブカ・シュリー・ヴィラーッジター
意味)彼女の顎の美しさは比較するものがなく、描写できないものです(アニルヴァ・チャネーヤ)
30. Kāmeśa-baddha-māṅgalya-sūtra-śobhita-kandharā カーメーシャ・バッダ・マーンガルヤ・スートラ・ショービタ・カンダラー
意味)主カーメーシャは彼女の首にマンガラ・スートラを掛け、これが彼女をすべての栄華で輝かせています。
このマンガラスートラの首飾りはマントラの全精髄(マントラ・マイ)で満たされています。それはパラブラフマー(主カーメーシャ)が原初エネルギー(シャクティ)に彼の吉祥さを降り注ぎ、またこのことによって彼の内なる吉祥さが何倍にもなっていることを意味します。言い換えると、パラマートマと母(シャクティ、エネルギー)はお互いに彼らの吉祥さを分かち合っているということです。その結果、吉祥さが結びつき強められています。
結婚は二つの存在(ジーヴィ)のエネルギーの移行を意味します。これは彼らがお互いのパートナーの吉祥さ(マンガルヤム)を分かち合うということです。したがって、結婚のためには非常に吉祥な瞬間が選ばれます。花婿はこのマンガラスートラの首飾りを花嫁の首にかけ、既婚の女性はそれをずっと身に付けます。このように重要なマンガラスートラは神像のアビシェーカム(洗礼)の際にも外されることがありません。
サハスラナーマの最初の三十の名は、ショーダシ・ヴィディヤ(もっとも至高のマントラとみなされている十六の音節からなる聖なる母のマントラ)の「ヴァグバヴァ・クータ」を構成します。このマントラの最初の五つの種字音(ビジャークシャラ)が、彼女の顔(ヴァグバヴァ・クータ)の姿として描かれています。これからマディヤマ・クータ、このマントラの中間部分に入っていきます。
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