シュリーマド・バーガヴァタム 第195話
更新日 : 2023.4.2
カテゴリー : シュリーマド・バーガヴァタム
スニーティはドゥルヴァに言いました、「愛する息子よ、他人の不幸を願ってはいけません。怒りにあっても、人が不幸な目に会うようにと願ってはならないのです。なぜなら、人を苦しめる人は、その悲しみが原因となって最後には苦しむことになるからです。どうか、いつもこのことを覚えていてください。
あなたの義理の母親が言ったことは、全く正しいのです。私のお腹から生まれて私の母乳で育てられたことが、あなたの不幸でした。父王は私を妻として呼んだり、受け入れたりすることすら恥じています。息子よ、憎悪の感情を捨てるのです。彼女が提案した通りのことをしなさい。義理の兄弟のウッタマのような高い地位が本当に欲しいのなら、感覚では見えない主シュリハリの蓮華の御足を崇拝しなさい。
Yasyāṅghri-padmaṁ paricarya viśva-
Vibhāvanāyātta-guṇābhipatteḥ
Ajo ’dhyatiṣṭhat khalu pārameṣṭhyaṁ
Padaṁ jitātma-śvasanābhivandyam
パラブランマーは、純質(サットヴァ・グナ)を媒体として使い、ヴィシュヌの姿となって宇宙全体を守護しています。偉大なヨーギーたちは、プラーナーヤーマを行って己の心を制御し、主を瞑想します。生死を克服した主ブラフマーは、主の蓮華の御足を崇拝して、この創造全体の中で最も至高の地位を獲得したのです!
あなたの祖父のスワヤンブヴァ・マヌは、最高の状態に心を集中させて、至高のヤグニャを執り行い、多大なダクシナ(お金)を司祭たちに捧げました。彼はこのように至高の主に奉仕したのです。そして、主の恩寵を頂くことによって、このマンヴァンタラ(時代)の統治権や、物質界と天上界での楽しみを獲得しました。さらに最も重要なことには、解放を獲得したのです。
彼は、他の方法ではなく、ただ献身的に至高の主を崇拝することで、この全てを獲得したのです。
Tam eva vatsāśraya bhṛtya-vatsalaṁ
Mumukṣubhir mṛgya-padābja-paddhatim
Ananya-bhāve nija-dharma-bhāvite
Manasy avasthāpya bhajasva pūruṣam
愛する息子よ!シュリハリは、御身の信奉者を我が子のように愛しています。解放を求める信奉者は、献身奉仕するために主の蓮華の御足を求めているのです。それ以外の思いを心から退けなさい。世俗的な思いに心の平安を邪魔させてはいけません。あなたの義務、すなわち、スヴァダルマに厳密に従いなさい。己の心を浄化しなさい。その純化された心を至高の主で完全に満たして、主に奉仕するのです。
Nānyaṁ tataḥ padma-palāśa-locanād
Duḥkha-cchidaṁ te mṛgayāmi kañcana
Yo mṛgyate hasta-gṛhīta-padmayā
Śriyetarair aṅga vimṛgyamāṇayā
ドゥルヴァよ、私はどんなに一生懸命に考えても、あなたの悲しみを払いのけることが出来るのは、シュリハリ以外には見つけられません。シュリハリだけがあなたの避難場所なのです。人は富を求めて、女神ラクシュミーを崇拝します。女神ラクシュミーは蓮の花を手に持って、蓮の目をした主シュリハリを追いかけます。そして、主に奉仕するのです。」
スニーティは嘆き悲しみながらも、息子が願望を叶えることができるようにとこのように吉祥な言葉を語りました。ドゥルヴァは心を落ち着かせて、母親の話を聞きました。彼は断固とした決意と知性を持って、心を制御しました。そして、父親の王国を出発し、進んでいきました。
全知のナーラダ・マハルシは、母親のスニーティの知恵ある言葉や、王国を出立したドゥルヴァの決意のことを知りました。そして、ドゥルヴァの意図に気づきました。少年ドゥルヴァの気持ちを理解したのです。ナーラダ・マハルシはドゥルヴァの断固とした決意と決心に大変に驚きました。彼はドゥルヴァに近づき、少年の額を優しくふれながら思いました。
「クシャトリヤたちが些細な無礼や不名誉に耐えられないのは、驚くべきことではないか?彼はほんの子供だ、だが、義理の母親の残酷な言葉に深く傷ついている。この侮辱に耐え切れずに、彼は故郷を離れた。彼の意図を汲んでやって、手ほどきを与えよう。」
そして、ドゥルヴァに言いました、「愛する少年よ、あなたは私の息子のようなものです。幼少期には、友達と遊んで過ごすものなのです。この幼少時代に、なぜに侮辱的な言葉に心を揺さぶられるのですか?私にはそれが分かりません。失礼なことがあったとしても、子供はすぐに忘れてしまうのが自然なことです。」