グルの系譜

アーディグル・ダッタートレーヤ

最初の教師

アーディグルは最初の教師という意味です。ダッタートレーヤ神は創造神であるブラフマー神、維持する神であるヴィシュヌ神、世界を溶解させる神であるシヴァ神の三神が一つになった存在として世界に自身を贈りました。

ダッタは「与える」を意味します。ダッタートレーヤ神は、伝統的に三つの顔と六つの腕を持つ姿で描かれ、その姿は世界を構成する創造・維持・破壊の三要素が一つになっていることを表しています。

ダッタートレーヤ神は「アートマン(自己)はブラフマン(絶対者)である」や「私はブラフマンである」といった言葉で表される不二一元(アドヴァイタ)哲学をさまざまな方法で教える教師として知られています。ナヴァナートの伝統では、シヴァ神の化身であるダッタートレーヤがその創設者であり、ヨーガの王とみなされています。ヴィシュヌ神の化身の物語を描いた『シュリーマド・バーガヴァタム』では、ダッタトレーヤ神がヴィシュヌ神の化身として描写されています。シュリー・ラーマやシュリー・クリシュナといった神の化身(アヴァターラ)たちは、ある時代にこの地上に姿を現し、そして去っていきました。ですがダッタートレーヤ神は太古から現在に至るまでずっとその姿で顕現し続けているというユニークな特徴を持っています。

ダッタートレーヤの真の姿と使命

伝統的に三つの顔と六つの腕を持って描写されるダッタートレーヤですが、シュリー・スワミジの人生記である『神の化身たち』には、この原初の教師の実際の姿と使命を知るための手がかりとなる出来事が書かれています。ダッタートレーヤ神自身が、炎の輝きのような姿から現代では存在しないような巨躯の人の姿となってシュリー・スワミジの母の前に現れて言いました。「違った姿に変装し、良い人々を助けて世界の福利を助けることはできる。しかしそれではこの時代の必要に応えるには十分ではない。私は化身し、その化身体によって有益な計画を実行に移さなければならない。その計画の影響はこの地上に永続する」。

ダッタートレーヤ神はそのままの姿では現れることができず、さらに化身して私たちの社会に現れます。14世紀頃のシュリー・パーダヴァッラバとシュリー・ナラシンハ・サラスワティは、カリユガと呼ばれる現代まで続く時代に姿を現したダッタートレーヤ神の化身として知られています。

ダッタートレーヤのグルと弟子

シュリー・スワミジが編纂した『ダッタ・ダルシャナム』には、ダッタートレーヤ神の様々な物語が収録されています。その中で原初の教師であるダッタートレーヤにとっては、自然、動物、人間などの万物が師(グル)だったとあります。そのような代表として太陽や月、ヘビや蜂、少年や少女などの24のグルをダッタートレーヤ自身がヤドゥ王に教えています。

また『ダッタ・ダルシャナム』では、ダッタトーレーヤの主要な弟子の一人であるカルタヴィーリヤ・アルジュナ王が紹介されています。カルタヴィーリヤ・アルジュナは王子として生まれましたが、王位に就くことを要請された時、四肢が曲がっていたため武勇も必要とされる統治者としての役割を自ら辞退していました。そのような時に、すべての願いを叶える力を持つダッタートレーヤ神の存在を教えられした。カルタヴィーリヤ・アルジュナ王子は、ダッタートレーヤに献身的に仕え、厳しい試練を経て、完全な姿を手に入れました。数々の超常的な力さえも手に入れました。彼は長期に渡って広大な王国に正義が行き渡るように統治しました。最終的にカルタヴィーリヤ・アルジュナ王は、ダッタートレーヤの祝福によって、当初は望むに至らなかった「英知」を得て、やがて最高の目的である「解脱」に至りました。このようにダッタートレーヤ神は、弟子のすべての願いを成就させ、さらにその弟子が望む前に最高の目的へと導く教師として知られています。また、ダッタートレーヤ神は神々や人間、神の化身に至るまで、あらゆる存在を教えるグルでもあります。

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