言葉と教え

シュリーマド・バーガヴァタム 第52話

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至高主であるシュリ・クリシュナが肉体の姿を捨てたこと、そしてヤドゥー族が壊滅させられたことを知り、ユディシュティラは彼の心をしっかりと落ち着かせ、自分もまた天国に昇るべきであることを確信しました(スワルゴーロハナ)。

アルジュナは、クリシュナが親愛なる友人として自分を大切に思ってくれたこと、父性愛を惜しげも無く彼に注いでくれたこと、重要な事柄について彼に忠告してくれたこと、戯れて彼をからかったことを回想していました。それから、彼は数年前に教示を受けたバガヴァッド・ギーターを思い出し、それによって心の平安を得ました。彼はすべての悲しみを忘れ、絶対的な平安に到達しました。

悲しみを何度も思い出し続け、その状態から前に進めない人がたくさんいます。死んだ親戚を追いかけ続けています。人生は先に進むものだと考えないのです。「彼は先に旅立った。今私は独りで旅を続けなければならない」起こってしまった悲しい出来事を何度も思い出して、何になりますか。良い出来事とそこから学んだ重要な教訓を思い出すことを学びましょう。これが、アルジュナから学ぶべき教訓のひとつです。

アルジュナは過去の良い記憶や楽しい出来事をすべて思い起こしました。彼は、主がグルの役割を担い、彼を弟子として受け入れてくれたことだけでなく、主が彼の誓いに反対したことや、主が誓いを果たすのを勇気付け、手助けしてくれたことを思い出しました。彼は主が彼のグルとしてどのように神聖なバガヴァッド・ギーターを教授してくれたかを思い出しました。彼は、主がこういった説教を行ってくださることで、自身の任務の遂行にあたって動じない状態となり、解脱した存在になることを確信していたことに感謝しました。

このようにして、アルジュナは良い記憶についてしか考えませんでした。アルジュナが幸せな出来事を思い返さなかったなら、落胆したままの彼の精神状態はどうなったでしょうか。

ユディシュティラは親戚全員について一人ずつ尋ねました。四、五人を除いて、他全員が亡くなっていました。ユディシュティラが、彼の友人や親戚は誰も生きていないと知ったとき、クリシュナ自身ももはやこの世に存在しないとわかったとき、彼の心の状態はどうなったのでしょうか。彼はどのように感じたのでしょうか。状況が把握できた瞬間に、悲哀の入り込む余地のない鉄壁の心で、彼はクリシュナが住むその場所へ旅立たなければならないと決心しました。彼の心はこうして落ち着いたのです。

このエピソードには、カリ・ユガに住んでいる我々にとって非常に重要なメッセージが含まれています。少なくとも二、三のポイントは考慮すべきです。逝去した親戚について何年もの間悲しんでいる人々がいます。彼らはいつも故人のことを話し、考えています。彼らが故人の代わりとしてクリシュナを偲ぶならば、究極的なものとなりますよね。この世を去った人々の魂が神と同一化したことを揺るぎない信念を持つ人は、すなわち神に到達しようとしていることを意味します。そのような決意は、悲しみのない堅実で決断力のある心でなされるべきです。このことで旅立った魂と、残された人の両者が平安になるでしょう。

逝った魂を絶えず考えるということは、その人たちを捕まえ、この世界に引っ張り戻そうとしていることになります。あなたの心の中でずっと彼らを自分に引きつけようとしています。これではあなたもその人たちも精神的に平穏にはなりません。

この大地から主クリシュナが姿を消し、ヤドゥ一族が壊滅させられたことについてアルジュナの話を聴いたクンティは、どんな物差しでも測り取れないような主に対して一意専心の心を持ち、生きている間に解脱を達成しました(ジーヴァン・ムクティ) 。彼女はその身を捨てて、生まれては死ぬという連環から抜け出しました。この話は、人々の心をどれだけ和らげるでしょうか。

棘が別の棘を取り除くのと同じように、本来は形を持たない主が、母なる大地の負担を軽減する目的で物理的身体を使いました。主は今、ご自身の身体から離れました。主の化身の目的は完了しました。主にとって、身体を持つこと、その身体の媒介を通して行為すること、身体を放棄することは、同様のことです。

俳優たちがドラマのためにいろんな変装をするように、至高の主が様々な化身を受け入れたり、その化身から離れたりするのです。この場合、主はクリシュナとしての役割を受け入れ、大地の負担を軽減し、身体から離れました。

クリシュナが自分の身体から離れた瞬間から、カリは大地への影響を強めました。カリ・ユガはその日から始まりました。カリは、不正行為に対して良識のない人々を扇動しました。すべての国、都市、家庭で、欲深さ、不誠実さ、不正行為、暴力行為などが蔓延しました。要するにすべての個人にまで蔓延しました。カリの影響はわかりやすく、人々は個人が自責の念を持つように仕向けました。非常に賢明だったユディシュティラは、これに気がつきました。

それまでユディシュティラは王または皇帝として呼ばれてきました。今や彼は賢人と呼ばれます。彼はこの地を離れる必要があることを悟り、堅く決心しました。彼は「ああ、私は人々が抱いている不実を取り除く必要がある。私は欺瞞を根絶する必要がある」という決心はしませんでした。彼はそれらはひとりでに消え去っていくであろうことに気がつきました。彼は本当に賢明でした。棘が別の棘を引き抜くのと同じように、この変化を生み出した化身は、適切な時が来たときに、それをまた破壊するのです。ユディシュティラはこれを実感したので、賢明な忠告を受け入れました。

ハスティナープラでは、ユディシュティラは大陸全域に拡大した王国の全領土を一手に引き受ける皇帝として、あらゆる点で彼と同等の実力のある孫、パリクシットに戴冠しました。同様にマトゥラでは、彼はシュリレーナ王国の王としてアニルッダの息子であるヴァジュラに戴冠しました。その後、彼はプラジャーパティエーシュティと呼ばれるヤグニャを執り行い、自分自身に火を着け、サンニャーサ(世俗的な生活からの放棄)を選びました。

シュリ クリシュナ ダッタ クリシュナ

続く

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