ラリタ・サハスラナーマの名の意味132~140
更新日 : 2022.9.26
カテゴリー : ラリタ・サハスラナーマ
ここから多くの名が「Nir(ニル)」で始まります。「Nir(ニル)」は、「~ではない」を意味します。これは聖なる母が「~ではない」性質を持つという長いリストです。『ラリタ・サハスラナーマ』の中でとても意義のある箇所であり、重要な役割を果たしています。自己の真髄(アートマ・タットヴァ)がこれらの名で教えられています。
無限で無形の神は心と言葉の限界を超えていて、どんな言葉や論理でも理解することができません。真理探究(タットヴァ・ヴィチャーラ)を深めることは、真実についての目を開かせ、私たちを不二(アドヴァイタ)の状態へと連れていきます。
『ラリタ・サハスラナーマ』は至高の真髄を私たちの心に確固として刻印するために、簡単な名前を通して教えています。また、これらの名の意味を理解することは、そのような性質・資質を内部に同化させたいという私たちの望みを強めます。そのような性質と同化することによって、個人は神の地位へと昇ります。
132. Nirādhārā ニラーダーラー
意味)彼女は「支え(アーダーラ)」を「持ちません(ニル)」。
至高のエネルギーには始まりも終わりもなく、その存在を支えるものもありません。彼女が全創造の支えです。
133. Nirañjanā ニランジャナー
意味)彼女には幻想と無知(アンジャナ)がありません。さらに彼女は幻想を破壊します。
アンジャナは目を美しくするために使われる黒い粉(アイライナーに類するもの)です。「黒」は無知(アヴィディヤ)、幻想(マーヤー)と束縛(モーハ)と関連しています。「白」は満月やミルクに見られるように知識(ジニャーナ)と純粋(シュッダ)を表します。彼女は無知と幻想を破壊します。
134. Nirlepā ニルレーパー
意味)彼女は執着、束縛、不純などの類(レーパ)がありません。
これは彼女が無執着である性質を表しています。
『ウパニシャッド』は述べています。
Surya yathā sarva-lokasya cakśur na lipyate cak- susair bāhya-dośaih
ekas lhathā sarva-bhutāntar- ātma na lipyate loka-duhkhēna bāhyah
スーリヤ ヤター サルヴァローカスヤ チャクシュル ナ リプヤテー チャクスサイル バーフヤドーシャイヒ
エーカス ルハター サルヴァブーターンタルアートマ ナ リプヤテー ローカドゥッケーナ バーフヤハ
意味)太陽は全世界(サルヴァローカ)の目(チャクシュ)です。太陽は、個人の外的な目が見る欠点や傷の影響を受けません。同じように内なる存在(アートマ)は全ての出来事の影響を受けません。彼は「ニルレーパ」です。
太陽の光によって私たちは対象物を受容します。視力に欠陥がある人が、太陽に傷を見ても太陽は傷ついていません。眼鏡に色がある場合、それに従って太陽は違って見えます。しかし実際の太陽はその影響を受けません。太陽はこうした全てから自由です。同じように内なる存在(アンタル・アートマ)である至高の母はいかなる影響も受けません。
135. Nirmalā ニルマラー
意味)彼女にはマラ(汚れ、不純)がありません(ニル)。彼女は純粋です。
136. Nityā ニティヤー
意味)彼女は永遠です。
内なる魂(アートマ)について『バガヴァッド・ギーター』は述べています。
ajo nityah sāsvato ‘yam purano na hanyate hanyamāne śarire
アジョー ニティヤハ シャースヴァトーヤム プラノー ナ ハンヤテー ハンヤマーネー シャリレー
意味)彼は生まれず(アジャ)、永遠(ニティヤ)、常に輝き(シャースヴァタ)、太古のもの(プラナ)です。
アジャハ、ニティヤ、シャースヴァタ、プラナは同義語です。
137. Nirākārā ニラーカーラ
意味)彼女は形(アーカーラー)がありません。
彼女にもっとも類似するのは空間です。
138. Nirākulā ニラークラー
意味)彼女には緊張状態がありません。彼女は平静です。
「アークラ」は緊張、苦悩、悲しみ、混乱などです。彼女は常に平静な状態です。彼女は信奉者から七種の悪徳・苦悩(ヴヤサナ)を取り除き、そのような状態にします。
サッドグルもまた、その信奉者に関する知識を持っていなくても、だんだんと彼・彼女を変容し、悪徳から解放します。今生の悪い性質だけではなく、多くの過去生の悪い性質も取り除きます。ハートを変容させ、良い思いを蒸留します。例えば喫煙の中毒者が、サッドグルへの愛と敬意から、彼の前では数時間のあいだ喫煙を控えます。そのようにしてだんだんと彼は悪習から離れていきます。
139. Nirguṇā ニルグナー
意味)彼女にはいかなる性質あるいは特質(グナ)もありません。
グナ(性質)は三種類あり、サットヴァ(純質)、ラジャス(激質)、タマス(暗質)です。全ての存在はこれらの内の一つか、あるいは複数の範囲のなかで働きを持ち区分されます。これらのグナに私たちの足を固く縛っている鎖です。三つの内で疑いなくサットヴァが最良ですが、それですら放棄される必要があります。聖なる母はこれらの性質(グナーティータ)を超えています。
『バガヴァッド・ギーター』は述べています。
Traigunya-viśaya veda nistrai-gunyo bhavārjuna
トライグンヤヴィシャヤ ヴェーダ ニストライグンヨー バヴァ―ルジュナ
意味)全ての行為(カルマ)は性質(グナ)から生じます。これらのグナを超えるべきです。ニシュカーマ・カルマ(願望を持たない行為)に従事しなさい。
140. Niṣkalā ニシュカラー
意味-
a)彼女は動き(スパンダナ)がありません。
śodaśa kaḷā vo puruśah
ショーダシャ カラー ヴォー プルシャハ
全ての人が16の要素(カラー)を持ち、それは生命にそれらのカラーは不可欠なものです。その中でプラーナカラー(生命力)は、16番目のカラーとして知られもっとも重要です。この16番目のカラ―が離れると、人は死にます。普通の人にとってはこれがニシュカラー(カラーの欠如)の状態です。
『ソウンダルヤ・ラハリ』の一節めは述べています。
Śivaḥ śaktyā yuktō yadi bhavati śaktaḥ prabhavituṃ
na cē devaṃ devō na khalu kuśalah spanditum api.
シヴァハ シャクティヤー ユクトー バヴァティ シャクタハ プラバヴィトゥン
ナ チェー デーヴァン デーヴォー ナ カル クシャラハ スパンディトゥム アピ
意味)シヴァはシャクティ(エネルギー)と結びついて初めて創造力を得ます。それがなければ至高の主も動くことができません。
ここでシヴァは三又の矛を持ちガンガーを頭頂に持つシヴァ神ではありません。「シヴァ」は人間の体に言及しています。肉体は生命力(シャクティ)がなければ動きません。それがなければシャヴァ(死体)です。したがって、シヴァとシャクティの結びつきが生命にとって必須であり、それが16番目のカラ―です。
b)至高の母は人間の体を持たず、全てのカラーを超えています。
神々は体を持たず、そのため「アニメーシャ」と呼ばれ、まったく動き(スパンダナ)がありません。まばたきのような僅かな動きもありません。
⇒ラリタ・サハスラナーマ目次
※シュリ・スワミジによる『ラリタ・サハスラナーマ』の詠唱アプリはこちらです。
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