バガヴァット・ギーター 第1章 31~36節
更新日 : 2024.12.5
カテゴリー : バガヴァッド・ギーター
ガーンディーヴァ(神聖な弓)は火の神からの贈り物のため、神聖な武器でした。多くの結び目があるために、アルジュナ以外、誰も持ち上げることができませんでした。ガーンディはグランティ、つまり結び目です。
nimittāni ca paśyāmi viparītāni kēśava I
na ca śrēyo ’nupaśyāmi hatvā svajanamāhavē ǁ 31 ǁ
おお、ケーシャヴァよ!私は悪い前兆しか感じません。このことから、どちらの陣営の親族も間違いなく全員滅びます。親族を殺しても私たちに良いことが起こるとは思えません。
マハルシ・ヴィヤーサは「私はパーンダヴァに有利な前兆を見ている」と言いました。しかしアルジュナは悪い前兆を見ていると言います。彼は良い前兆を見損いました。そのため彼が適切に理解できていないことは明らかです。
ここでアルジュナは戦わない本当の理由を打ち明けます。
「もし戦ってこの戦士たちを殺したら、私はシュレーヤスを得ることはできないでしょうあ」とアルジュナは言います。ウパニシャッドはシュレーヤスを解放と表現しています。この言い訳を言って戦いを避けて、自分の正しい義務(ダルマ)から遠ざかろうとしました。ダルマと呼ばれる最初のステップを登れなかった人が、解放と呼ばれる最後のステップに到達することを期待できるのでしょうか?そのため、アルジュナの考えは間違っていました。彼の憐みについては称賛に値しますが、戦場では間違った感情でした。
na kāṅkṣē vijayaṃ kṛṣṇa na ca rājyaṃ sukhāni ca |
kiṁ nō rājyēna gōvinda kiṃ bhōgair jīvitēna vā ǁ 32 ǁ
おお、クリシュナ! 私は勝利を求めません。王国も、それに伴う安楽も求めません。おお、ゴーヴィンダ(すべての存在を高める者)よ!どうして親族が死んだ後に王国が必要なのでしょうか?その後に生きる意味とは何でしょうか?
アルジュナの精神状態がはっきりと出ています。アルジュナは「親族を殺した後に得られる王室の安楽と勝利から、私たちは何を得るというのでしょうか?」と尋ねます。彼はクリシュナを「ゴーヴィンダ!」と呼んでいます。彼は、ヴェーダ(ゴー)があなたについて語っている、あるいはヴェーダではあなたが暴力を非難しているということをほのめかします。それなのに、なぜ私たちは王国のために暴力を使わなければならないのでしょうか?
「私たち」と言うことで、彼はクリシュナを含めました。こう使うことで彼はメッセージを伝えています。戦争の前に、その必要性について広範囲にわたる議論が行われました。クリシュナは熱心に平和を主張しました。これだけではなく、そのために一生懸命働きかけました。しかし、彼の努力は邪悪な者たちによって拒否されました。その後、クリシュナは戦争は避けられないと判断して、ユディシュティラを説得しました。アルジュナとクリシュナは戦争について多くの議論をしました。アルジュナは最終的に、戦争はダルマを確立し、アダルマ(非法、不正義)を排除するために避けられないと判断しました。パーンダヴァ兄弟が戦争を始めたのは王国のためではなかったことを思い出してください。彼らはダルマを守るために戦争を始めたのです。
そこでアルジュナはこう言います。「クリシュナ、なぜ私たちは王国が必要なのでしょうか?王国がなくても、私たちはダルマに生きることができます。アダルマに従いたい人たちは、彼らの道を行かせましょう。どうして彼らのことで悩むことがあるのでしょうか?」
yēṣāmarthē kāṅkṣitaṁ naḥ rājyaṁ bhōgā ssukhāni ca I
ta imē ’vasthitā yuddhē prāṇāṁstyaktvā dhanāni ca ǁ 33 ǁ
私たちが王国と富を要求している人たちが皆、命と富を捨ててここに立っています。
アルジュナは正気を失っていました。彼に見えたのは親族だけでした。彼は、幼い頃からドゥルヨーダナがやってきたひどく不当なこと、巧妙なサイコロ遊び、ドラウパディの衣服を脱がせることなどを見ることができませんでした。彼は息子、孫、甥、そして年長者を見ました。彼らが死んだら、その財産をどうするのだろう?と彼は考えました。
最初、彼はダルマを確立するために戦っていると言いました。今、彼は親族の死後、その財産は役に立たなくなると言います。このように、彼は矛盾しているのです。
ācāryāḥ pitaraḥ putrāḥ tathaiva ca pitāmahāḥ I
mātulāḥ śvaśurāḥ pautrāḥ śyālā ssambandhinas tathā ǁ 34 ǁ
教師、父親、息子、祖父、母方の叔父、義父、孫、義兄弟、その他の親族は皆、財産と命を捨ててここにいる。
ētānna hantumicchāmi ghnatō ’pi madhusūdana I
api trailōkya-rājyasya hetōḥ kiṁ nu mahīkṛte ǁ 35 ǁ
おお、マドゥスーダナよ!たとえこの人々が私を殺しても、私は彼らを殺しません。たとえ私が三界の支配権を与えられたとしても彼らを殺さないのに、地球の支配権だけを得るために彼らを殺すでしょうか
シュリハリはマドゥとカイタバという悪魔を殺したので、カイタバジットとマドゥスーダナとして知られました。アルジュナは暗示しています。~あなたも部外者だけを殺して、親族を殺さなかった。ここで彼が忘れていたのは、マドゥとカイタバはシュリハリの耳から現れたので、シュリハリの息子だったということです。
武器で攻撃されたときに反撃しないのは、クシャトリヤのダルマではありません。アルジュナは落胆して、クシャトリヤの義務を忘れてしまいました。
nihatya dhārtarāṣṭrānnaḥ kā prīti ssyājjanārdana I
pāpamēvāśrayēdasmān hatvaitānātatāyinaḥ ǁ 36 ǁ
おお、ジャナールダナよ!ドゥルヨーダナや他の従兄弟を殺しても、何の喜びが得られるというでしょうか?これらのアータターイ(邪悪な者たち)を殺しても、何が得られるというのでしょうか?私たちが罪に染まるだけです。
これは誤った発言です。クリシュナが「誰も殺してはならない、ドゥリタラーシュトラの息子だけを殺すのだ」と言うかもしれないと恐れて、彼は「たとえアータターイであっても、彼らを殺しても何が得られるというのか?」と言っているのです。彼らを殺せば、私たちは罪に汚されるでしょう。
628話に続く