シュリーマド・バーガヴァタム 第460話(乳海攪拌)
更新日 : 2025.9.18
カテゴリー : シュリーマド・バーガヴァタム
トリヴィックラマーヤ・ナマハ
「その後、主は悪魔たちの力とエネルギーを増大させるために、激情(ラジャス)の形で彼らの中に入りました。同様に、神々の力とエネルギーを増大させるために、神聖なる純粋なエネルギーの形で彼らの中に入りました。そして、無知(タマス)の状態である眠りの形で、蛇ヴァースキの中に入りました。」
ヴァースキが生き延びたのは、深い眠りに陥ったからに他なりません。そうでなければ、彼は攪拌の過程で甚大な苦しみを味わっていたでしょう。
主はマンダラ山に、山のように巨大な姿で顕現しました。千本の腕で山を支え、攪拌中に激しく揺れないようにしました。これを天空から見ていたブラフマー神、シヴァ神、インドラ神をはじめとする神は、主を称え、花を降らせました。
このように、至高主シュリハリは、山頂には千本の腕を持つ巨大な姿で、山の下には巨大な亀の姿で、デーヴァタ(神)たちの体内にはそれぞれのエネルギーで、マンダラ山には安定性の形で、ヴァースキ神には眠りの形で同時に顕現しました。主は万物を包み込みました。新たなエネルギーに誇りを持つデーヴァタと悪魔たちは、熱心に海を攪拌し続けました。
水面に生じた撹拌により、ワニの群れは怯え、動揺しました。千頭の蛇ヴァースキの何千もの目と口から出た煙と炎は、悪魔の輝きを完全に破壊しました。パウローマ、カーレーヤ、バリ、イルヴァラといった悪魔のリーダーたちは、猛烈な森林火災で焼け焦げた灰色の木々のようでした。彼らはあらゆるエネルギーを吸い取られ、無力なままでした。
ヴァースキの呼吸によって噴き出した炎は、全ての神々の輝きも無くしました。彼らの顔、鎧、衣服、花輪はすべて煙に覆われました。雲を支配していた至高主は、彼ら全てに豪雨を降らせました。涼しい風が海に吹きつけ、海水のエネルギーを新たにした。
神々や悪魔たちの不断の努力にもかかわらず、アムリタ(甘露)は現れませんでした。そこで至高主アジタ自らが海をかき混ぜ始めました。
青黒い肌のアジタは、絹のような黄色の衣をまとっていました。黄金のように輝く衣をまとい、耳飾りは稲妻のようにきらめいていた。世界を恐れ知らずの力で満たし、勝利をもたらす肩を持つこの主は、今、蛇を握っていました。主がマンダラ山を攪拌棒として海を攪拌し始めると、主は宝の山のように輝きました。花輪を身にまとったこの主の頭髪は、すっかり散らばり、まばゆいばかりに輝いていました。その目は赤みを帯びていました。
主が激しく攪拌すると、魚、ワニ、カメ、ヘビは激しく取り乱し、吐き出されました。クジラ、サメ、ワニ、その他の巨大な水棲動物たちは、この乱流に激しく取り乱しました。急速に攪拌される海からは、ハラハラと呼ばれる恐ろしい毒が湧き出ました。
この恐ろしい毒の激しさに耐えられる者は誰もいませんでした!もしこの毒が海に流れ落ちれば、海全体が毒に変貌したでしょう。毒は急速に四方八方に広がり、上も下もすべてを包み込みました。この毒に怯えたすべての神々と悪魔たちは、自分たちを救ってくれる者を見つけることができず、ひどく怯えながら逃げ惑いました。そこで彼らは皆、指導者たちと共に主シヴァのもとに近づいて、庇護を求めました。
三界すべての安寧を願う、主たちの中で最も優れた主シヴァは、母なる女神パールヴァティーと共にカイラーシャ山に住まわれています。解放を求めるマハルシたちから深く崇敬されるシヴァは、深い瞑想に浸っていました。この究極の瞑想の境地を通して、解放を授けるこの主は、偉大な聖者たちに開放を得る道を示していました。すべての神々とプラジャーパティたちは主シヴァに敬意を表して、祈りを捧げました。
“Deva-deva mahā-deva bhūtātman bhūta-bhāvana
trāhi naḥ śaraṇāpannāṁs trailokya-dahanād viṣāt
おお、マハーデーヴァ!あなたはすべての主の中の主です!あなたはすべての生類の創造主です。あなたは彼らの中に、真我の姿で宿っています。おお、主よ、私たちはあなたに庇護を求めます。
ナーラーヤナーヤ・ナマハ
第461話へ続く

