シュリ―マド・バーガヴァタム 第1話
更新日 : 2017.3.15
カテゴリー : シュリーマド・バーガヴァタム
Śri mahā ganapataye namaḥ
Śri Saraswatyai Namaḥ
Śri Pāda vallabha Nrusimha Saraswati
Śri Guru Dattatreyaya namaḥ
神によって与えられたこの人生は、最高神のヴィジョン(パラマートマ・ダルシャナ)が獲得された時のみ成就します。バクティ・スートラ(経典)や他のグランター(テキスト)が正当にも述べているように、この至高のヴィジョンを獲得するためには、献身(バクティ:信愛)より偉大な道具はありません。このバクティの道において、シュリーマド・バーガヴァタムは極めて卓越した場所を占めています。
マハーバーラタだけではなく、十八のプラーナと十八のウパ(副)プラーナ、そしてブラフマ・スートラを作り上げた後でさえ、マハリシ(聖仙)・ヴェーダ・ヴィヤーサは完全な平安を欠いており、落胆していました。そのようなとき聖仙ナーラダは彼にアドバイスし、このバーガヴァタムを作るように言いました。このアドバイスに従い、聖仙ヴィヤーサはこのバーガヴァタムを作り、比類のない心の平安を達成しました。
そのように神聖なこのバーガヴァタムは十二のスカンダ(編)から成っています。これらの編のそれぞれを詳細に理解していきましょう。「バーガヴァタム」という言葉は「至高の主に関する聖典(シャーストラ)」を意味します。至高の主に関するすべての側面が、このテキストで説明されています。プラーナ(神話)の全ての特徴がこの中に見つけられるので、バーガヴァタムはマハー・プラーナとなりました。
聖仙ヴィヤーサの意図は、バクティ(信愛)という手段を通した非二元論(アドヴァイタ・シャーストラ)の教義の確立でした。そしてそれによって人に至高神のヴィジョンを獲得させることでした。もしバーガヴァタムが自身の偉大さを自分で称賛するならば、そこには何も特別なことはありません。この理由から、高く評価されているパドマ・プラーナがバーガヴァタムの偉大さを絶賛しました!ここから私たちはこのバーガヴァタムの特別の重要性と地位を理解します。
その昔、聖仙ナーラダは地上の全ての巡礼地を訪問したいと思うようになりました。彼はプシュカラ、プラヤーガ、カーシー、ゴーダーヴァリー、スリシェトラ、クルクシェートラ、シュリーランガ、ラーメーシュワラ他多くの聖地を訪問しました。しかし、彼はどこに行っても心の平安を得ませんでした。彼は、不正義(アダルマ)の友人であるカリ(ユガ)が全地を覆っていることに気づきました。心の平安を求めてあらゆる場所を巡りながら、彼はついにブリンダーヴァンに着きました。その土地はかつて童子クリシュナが奇跡を行った場所でした。
そのヤムナー川のほとりで、彼は哀れに悲しんでいる若い女性を見つけました。彼女の両脇には意識のない二人の年老いた男性がいました。若い女性は二人の年老いた男性を助けようとしながら、ずっと大声で嘆いていました。驚いた聖仙ナーラダは彼女に近付きました。ナーラダを見て、その女性は立ちあがり、彼にお辞儀(ナマスカーラ)をして言いました。「ああ、偉大なる聖者様!どうぞ私の礼拝を受け入れてください。少しの間ここに立ち止まって、私の困難を聞いて下さい。私達に十分なプンヤ(功徳、幸運)がある時のみ、私達はあなたのような立場の偉大な聖者のダルシャンの祝福を受けることができます。」
聖仙ナーラダは彼女に尋ねました。「おお、若い女性よ、あなたは誰ですか?あなたの横にいるこの二人の年老いた男性は誰ですか?どうぞ私にあなたの苦しみの原因を詳しく教えてください。」
女性は答えました。「ああ、聖者様!私はバクティ(献身、信愛)です。この二人は私の息子たちで、ジュニャーナ(至高の知識)とヴァイラーギャ(離欲、無執着)です。私を取り囲むこの女性たちはヴリンダと他の川たちです。彼女たちは私に仕えるためにここにいます。しかし彼女たちの全ての奉仕があっても、私の心は平安ではありません。私はドラヴィダ国(南インド)に生まれました。私はカルナータカで育ちました。マハラシュトラやアンドラや他の場所でも、私は少し暮らしました。そして様々な場所を巡った後、私はブルジャナ国に着きました。ここで私は大人の女性になりました。私がブルジャナ国に着いた時には、すでにカリユガがその触手を至るところに広げていました。
私の子供たち、ジュニャーナとヴァイラーギャでさえ急速に老いていきました。こうして多くの時間をさまよい歩いたあげく、私はこのブリンダーヴァンに到着しました。不思議なことに私がここに着くやいなや、私の老齢は去り、私は若さを取り戻しました。しかし、私の二人の子供たちは、まだ年老いたままで衰弱し続けています。このことは私を大いに悩ませています。私には何を為すべきか全く手がかりがありません。私はこの国を離れて外国に住むべきかどうか話あっています。私は息子たちが老齢で苦しむ姿を見ることに耐えられません。私自身は若さを取り戻したとはいえ、私は楽しむことも平安であることもできません。この背後にある理由は一体何なのでしょうか?どうか教えて下さい。」
このようにバクティはこの聖者に祈りました。彼女はさらに祈りました。「おお、偉大な聖者よ!おお、ヨーガニディ(ヨーガの宝庫)よ!どうか私の悲しみを払ってください。」
聖仙ナーラダはしばし熟考しました。そして彼女に言いました。「おお、若い女性よ、どうぞお聞きなさい。今は最も恐ろしいカリユガの時代です。善行、ヨーガ、苦行のようなものは全て減少してしまいました。人々は罪深い行為に大きく傾いており、聖者たちは苦しんでいます。そして聖者ではない人間たちが幸せになっています。ジュニャーナ(至高の知識)とヴァイラーギャ(離欲、無執着)は忘れられ、人々の間では献身(バクティ)さえも枯渇してしまいました。そのような訳であなたがた三人とも老いてしまったのです。しかし、あなたがここブリンダーヴァンに到着できたことは幸運です。この場所の神聖さのために、あなたは若さを取り戻すことができたのです。」