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シュリーマド・バーガヴァタム 第208話

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ドゥルヴァは、残りの功徳と罪の両方を使い果たしつつありました。国王としての快適さを経験することによって、残りの功徳(プンニャ)を使い果たしました。そして、ヤグニャを執り行うことによって、罪の全てを洗い流しました。

彼は、三万六千年間、正しく地上を統治しました。彼は、人生の最初の三つの原理、すなわち、ダルマ(正義)、アルタ(富)、カーマ(物質的な欲望)を成就しました。その後、王国を息子のウトカラに譲りました。

Manyamāna idaṁ viśvaṁ māyā-racitam ātmani
Avidyā-racita-svapna- gandharva-nagaropamam

夢では、全ての物体が実在のように思えます。しかし、夢は心の創造物です。真我の光(アートマ・チャイタニヤ、純粋意識)によって、夢を見るのです。雲を見る時、私たちはそこに様々な形を見ることができます。しかし、その形は全て、心の創造物にすぎません。内なる純粋意識(アートマ・チャイタニヤ)が、心の創造物を輝かせているのです。

同様に、この世界全体は、純粋意識の中には存在せず、霊的無知があるがゆえに存在するように見えるのです。ドゥルヴァは、この深遠な真理を理解しました。

ドゥルヴァは、この肉体、妻、子供、友人、親戚、軍隊、宝物でいっぱいの箪笥、宮殿のコテージ、海まで広がっている広大な王国、美しい庭は、一時的に存在しているにすぎないことを理解しました。時が来れば、その全てが飲み込まれていくことを理解しました。そして、完全な平静心を培いました。そして苦行を行うために、バダリカーシュラマに到達しました。

彼は、清浄な川の水で沐浴しました。そして、完全に心と感覚を浄化して、適切な姿勢(アーサナ)を選択して、ヤマやニヤマ等の訓練を始めました。プラーナーヤーマを行って、呼吸を制御しました。心を使って、感覚を引き込みました(プラティヤーハーラ)。神の姿である普遍的形相に集中して、そこに心を固定しました(ダーラナ)。それから、完全に心を集中させて、この形相を瞑想しました(ディヤーナ)。

彼は、ディヤータ(瞑想する者)とディヤーヤ(瞑想の対象)の識別が存在しない、それを超越した最終的な滅入(ニルヴィカルパ・サマーディ)の状態に到達しました。その時点で、彼はこの形相への瞑想すら止めました。

ドゥルヴァは、主シュリハリに無類の愛を捧げました。この溢れ出る愛のために、彼の目からは、途切れることなく、喜びの涙が流れ落ちていました。鳥肌が立って、彼は意気揚々としていました。溢れ出る献身の念のために、彼のハートは完全に溶けていました。彼の中に自我意識は全くなく、「私はドゥルヴァである」という思いは完全に消えていました。

その瞬間、彼は上空から降りてくる天上界の飛行船を見ました。飛行船は、満月のように十の方向(全方角)を照らし始めました。

ドゥルヴァは、飛行船に天上界の存在が二名、乗っているのに気づきました。二人とも、青みがかった黒い顔色をしていました。蓮の花びらのような赤い目をしていました。それぞれに四本の腕があり、その一本には土矛を持っていました。そして、二人は高価な衣類を身につけていました。頭には王冠をつけていました。光り輝くイヤリング、真珠の首飾り、美しい腕輪を身につけて、光を放っていました。ドゥルヴァは、彼らが名声高いシュリハリの従者であることが分かりました。

ドゥルヴァは、シュリハリの至高の従者が近づいてくるのを見ると、即座に起立しました。熱望のあまり、彼は客人を礼拝するのを忘れていました。ただシュリハリの御名を唱えて、合掌し、彼らに敬意のお辞儀を捧げることしかできませんでした。

ドゥルヴァの心は、主シュリクリシュナの蓮華の御足にしっかりと結び付いていました。彼は、頭を下げて合掌し、客人の前で謙虚に立っていました。サナンダとナンダという名前のシュリハリの従者は、ドゥルヴァを呼び止めて言いました、

「おお皇帝よ!どうか、私たちの話をよく聞いてください。あなたは、五歳の時、猛烈な苦行をしてシュリハリを喜ばせました。私たちは、この宇宙の父である主シュリハリの従者です。私たちは、あなたを究極の目的地(パラマパダ)であるシュリハリの住まいにお連れするためにやってきました。

主シュリハリのお住まいを得ることは、本当に難しいことなのです。あなたは、それを成し遂げたのです。苦行を行って、勝ち得たのです。七人の偉大な聖者でさえも、この住まいに到達することはできませんでした。彼らは遠くから見ているだけです。太陽、月、惑星、星々は、シュリハリの住まいを恭しく回っているから、こうしてぐるぐると回転しているのです。これから、あなたは、そのお住まいに招き入れられるのです。

Anāsthitaṁ te pitṛbhir anyair apy aṅga karhicit
Ātiṣṭha jagatāṁ vandyaṁ tad viṣṇoḥ paramaṁ padam

おおドゥルヴァよ、シュリハリの住まいは、全世界から最も尊敬され、崇拝されています。これまで、あなたの父親も祖父もそれ以外の誰も、この至高の住まいには到達していません。さあ、どうか、ヴェーダが賞揚するシュリハリの至高の住まいにお入りください。

おお不滅の存在よ!純粋なる者の中でも至高の存在であるシュリハリは、この天上界の飛行船をあなたのために特別によこしました。あなたは搭乗するのに値する方です。

ドゥルヴァは、主シュリハリにとって非常に愛おしい人でした。同様に、ドゥルヴァは、何よりもシュリハリを愛していました。ドゥルヴァは、シュリハリの従者の甘露の言葉を注意深く聞きました。彼は沐浴してから、サンディヤ・ヴァンダナ(日の出、日中、日没時の礼拝)等の義務的な儀式を終わらせました。彼は吉祥な装飾を肉体に施しました。そして、そこにいるマハルシたちに敬意のお辞儀を捧げて、彼らから祝福を受けました。

それから、彼は天上界の飛行船を崇拝して、その回りをぐるりと回りました。そして、主シュリハリの従者に敬意のお辞儀を捧げました。

その後、彼は輝く肉体をまとって、天上界の飛行船に搭乗する準備をしました。その瞬間、死が、時間という形でやってきました。ドゥルヴァは、死神の頭の上に足を乗せて、天上界の飛行船に搭乗しました。天界からは、この上なく美しいドラム、ケトル、トランペットが聞こえてきました。

ヴァースデヴァーヤ・ナマハ

続く

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