シュリーマド・バーガヴァタム 第350話
更新日 : 2025.7.3
カテゴリー : シュリーマド・バーガヴァタム
アッチュターヤ・ナマハ
一文無しの人が突然大金を授かった時、そのお金に強い執着心を抱くように、聖なる王チットラケートゥも、長い間子どもに恵まれなかった後に息子に恵まれて、生まれたばかりの息子への深い愛情を育みました。愛情は日を追うごとに増していきました。息子への愛着から、母クルタデュティもまた喜びに溢れていました。
王が息子に注ぐ愛情に嫉妬したチットラケートゥの他の妻たちは、クルタデュティに憤慨し、今度は自分たちにも息子が授かることを切望するようになりました。言うまでもなく、チットラケートゥは毎日欠かさず息子のもとを訪れ、多くの時間を一緒に過ごしました。息子の母である最初の妻への愛情も深まっていきました。
夫のこの無関心に耐えかねた他の妻たちは、嘆き悲しみ、子どもがいないことを自ら責め始めました。彼女たちはこう考えました。「子どものいない女は夫に辱められ、子どもに恵まれた妻からは召使いのように扱われる。罪人である彼女は、屈辱の人生を送る運命にある。王の召使いたちは私たちよりも恵まれている。彼らは義務を全うし、王に仕え、王から当然の敬意を受けている。私たちとは違い、彼らは苦悩しない。不運な私たちは、今やこれらの召使いの召使いと同等だ。これが私たちの運命だ。」
さらに彼女たちはこう考えました。「クルタデュティの息子こそが、王が私たちを惨めに扱う唯一の原因だ。」こうして彼女たちは息子への嫉妬に燃えるようになりました。この嫉妬は、彼に対する深い憎しみへと変化しました。憎しみによって彼女たちの識別心は完全に枯渇し、彼女たちは心を閉ざし、ある日彼を毒殺しました。
クルタデュティは、妻たちのこの残酷な罪深い行為を知らず、息子がぐっすり眠っていると思い込み、目覚めるのを待ちながら宮殿を行ったり来たりしていました。しかし、息子が長い時間経っても目を覚まさないので、乳母に王子を迎えに来るように頼みました。
乳母が中に入ると、王子は亡くなっていました。深い眠りについているように見えましたが、目は飛び出ており、体の動きも呼吸も完全に止まっていました。
乳母は愕然として床に倒れ込み、両手で胸を叩きながら大声で泣き叫びました。その泣き声を聞いたクルタデュティ王妃は、息子の部屋に駆け込みました。息子の死を目の当たりにした彼女は、抑えきれないほど震え始めました。大声で泣き叫びながら、彼女は床に倒れ込み、気を失いました。この騒ぎを聞きつけた宮廷の侍女たちは皆、王子の部屋に駆けつけ、王子の死を目の当たりにすると、まるで自分の死であるかのように悲しみに暮れた。王子たちを毒殺した共妻たちも駆けつけ、嘘の涙を流しました。
王は、息子がこれほど幼い年齢で死を迎えるとは夢にも思っていませんでした。まるで雷に打たれたかのようでした。彼は慰めようがありませんでした。王は王子の部屋に駆けつけました。まるで世界が暗闇に包まれたかのようでした。息子への過剰な愛情が、彼の悲しみを倍増させました。卒倒して意識を失い、そしてやっとのことで目を覚ました王は、息子の遺体に向かってゆっくりと歩きました。大臣、顧問、ヴェーダの僧侶たちと共にいた王は、息子の遺体を見て気を失いました。
しばらくして王は意識を取り戻しました。息子の足に触てれ、再び気を失いました。髪は乱れ、服は体から滑り落ちました。涙が溢れ、声は詰まり、まともな言葉を話すことさえできませんでした。
クルタデュティ王妃は、夫が抑えきれずに泣いているのを見ていました。彼女は再び息子の亡骸を目にし、透き通るような声で大声で泣きました。目から溢れ出る涙は彼女の胸を濡らしました。髪を飾っていた花は落ち、彼女の髪はほどけていました。彼女は叫びました。
「おお創造主よ、あなたは無知です。あなたの行いは創造の法則に反しています。両親や年長者がまだ生きているのに、息子が死ぬのは正しいことでしょうか? 実にひどいことです。このように正反対の行動をとるあなたは、まさにすべての人にとっての敵です。もしこの宇宙の生命体が生と死の法則に従わないのであれば、あなたの存在は何の役に立つのでしょうか? 生と死は生命体の宿命です。あなたは創造物を繁栄させるために、私たちを執着という縄で縛り付けました。今、あなたはその縄を引き裂こうとしています」。
そう言いながら、彼女は息子の遺体にひれ伏し、大声で泣き叫びました。
スワミジの解説:このように彼女は主を冒涜しました。だからこそ、慣習上、家族が亡くなった直後は、プージャーの部屋や寺院に入ることを禁じられています。彼らは結局、主を冒涜することになるのです。神を冒涜するなら、死者は決して天に昇ることはありません。
王妃は泣きながら言いました。
「愛しい息子よ、私は無力な女です。孤児になってしまいました。私を捨てて出て行ってしまうのは、正しいことでしょうか?どうか、悲しみに沈むあなたのお父様の姿を見てください。子のいない夫婦は地獄に落ちます。あなたを通してのみ、私たちはこの不幸な状況を乗り越えることができるのです。あの冷酷なヤマ(死の神)と交わってはいけません。どうか、私たちを見捨てて出て行かないでください。」
おお王子よ!遊び仲間が待っています。あなたは長い間眠っていたのよ。もうお腹が空いていることでしょう。どうか目を覚ましてちょうだい。牛乳を飲んで、食べ物を食べておくれ。どうか私の悲しみを消してちょうだい。私のプンニャ(徳)はすべて奪われてしまった。あの無慈悲なヤマは、あなたを二度と戻ることのできないあの境地へと連れ去ってしまった。あなたの蓮華の御顔も、愛らしい微笑みも、甘い言葉も、二度と見ることはできない。あなたの甘い言葉も、二度と聞くことはできない。」彼女は大声で泣きました。
チットラケートゥもまた悲痛に泣きました。従者や親族たちも皆、共に泣きました。街全体が涙に浸り、陰鬱な様相を呈しました。心酔に囚われた人々は、識別心と知性を失って、まるで王を失ったかのようでした。
マハルシ・アンギーラサはこの不幸な出来事を知りました。彼はマハルシ・ナーラダと共に宮殿に到着しました。
これで第六巻の第14章は終わります。
第351話へ続く