シュリーマド・バーガヴァタム 第226話
更新日 : 2024.5.28
カテゴリー : シュリーマド・バーガヴァタム
至高の神は、この宇宙の創造の最初の王であるプリトゥ王が捧げた祈りを喜ばれて、言いました、
「おお王よ、あなたが私へのこのような献身で常に祝福されんことを! 神の恩寵によってのみ、私への無償の献身奉仕を獲得することができる。この叡智を得て、私の幻想を渡りきることができるだろう。さもなければ、これを超えることは不可能だ。
Mad-ādeśa-karo lokaḥ sarvatrāpnoti śobhanam―絶対なる献身の念を持って、あなたに割り当てられた仕事を果たしなさい。神である私の命令に誠心誠意に従う者は、全ての世界で吉祥を得ることだろう!」
至高の神シュリハリは、このようにプリトゥ王を高く評価して、彼の祈りを受け取りました。それから、シュリハリは準備を整えて、ヴァイクンタへ向かって出発しました。
「プリトゥ王は、このヤグニャに協力し参加した、全ての神々、聖者、ガンダルヴァ、悟りに至ったシッダ、チャーラナ、ナーガ、キンナラ、アプサラス、人間、鳥、その他の生命を至高の主の顕現であると見ていました。王は合掌して、完全な献身の念を持って、彼らに敬意のお辞儀を捧げました。そして、彼ら全員に挨拶して、栄誉を称えました。全ての者たちは大いに満足して、それぞれの帰途につきました。
プリトゥ王や祭司たちに見守られて、至高の神シュリハリは、ヴァイクンタへと出発しました。
Adṛṣṭāya namaskṛtya nṛpaḥ sandarśitātmane
Avyaktāya ca devānāṁ devāya sva-puraṁ yayau
本来、無相である至高の神シュリハリは、感覚でとらえることはできませんが、プリトゥ王がその肉体の目で見ることができるように御姿を現しました。王は喜び、神の御姿が見える間ずっと目をそらすことはありませんでした。それから、プリトゥは心の中で神に敬意のお辞儀を捧げて、王国へと帰っていきました。
第四巻、第二十章はこれで終わりです。
第四巻、第二十一章です。
この章では、プリトゥ王による国民へのメッセージが描かれています。
「プリトゥ王の帰還を知った国民たちは、意気揚々として王国の全ての入口を豪華な真珠の輪飾り、花輪、美しい布で飾りました。また、十字路の全てに芳香を放つお香が炊かれました。芳香がその辺りの全域に行き渡るようにしたのです。そして、王宮に通じる大通りはもちろんのこと、それ以外の道路にも白檀や聖水をまきました。
王国の民たちは、細道にも花々、果物、色付きのお米(アクシャタ)、薬草、炒り米、ランプ、それ以外の吉祥な物品を飾りました。花の咲いたバナナの木、実のなった檳榔樹、それ以外にもたくさんの果実をつけた木の房、花輪が、全ての十字路に飾られました。
プリトゥ王が王国に凱旋すると、光り輝く耳飾りをつけた若い乙女たちが王を出迎えました。王国の民たちはランプ、プージャの道具等の吉祥な物品を手に持ち、国王の方へ歩み出て温かく出迎えました。
プリトゥ王は、自我意識を克服している戦士でした。王国の合奏団は、王を称賛して歌いました。国民たちは、歓迎の証に巻貝を吹きました。王室の従者たちは、ケトルドラムを叩きました。祭司たちはヴェーダの讃美歌を唱え、そして、プリトゥ王は王宮へと入っていきました。
あらゆる十字路で、民たちはプリトゥ王を崇拝しました。王は誉れ高く、いつでも彼らの望みを叶えてくれる人でした。プリトゥ王はこの歓迎の様子を大変喜びました。その返礼として、同様に王もまた、集落の長たちに敬意のお辞儀を捧げ、崇拝しました。
プリトゥ王は、数多の称賛すべき活動に従事した結果として、崇拝に値する模範的人物となったのです。彼は王国の人々の健康のために数多くの善行を行いました。このようにして大地全体を統治したのです。プリトゥ王は大成功を収め名声を得て、その後、至高の神の御許へと至りました。彼はこの宇宙の創造の最初の王でした。プリトゥ王は神聖な資質の持ち主であったため、その名声はさらに大きくなっていきました。高潔な人たちは揃って、プリトゥ王の神聖な資質を賞揚したのです」と、マイトレーヤ・マハルシは語りました。
神の至高の信奉者であるヴィドゥラは、偉大なプリトゥ王について語るマイトレーヤ・マハルシを恭しく崇拝し、質問しました、
「マハルシたちがプリトゥを国王に任命すると、神々は皆、縁起の良い品を彼に贈りました。プリトゥ王はヴィシュヌ神の持つ維持の力を自らの腕の中に保ち、統治を維持するに必要となるものの全てを大地から取り出しました。現在に至るまで、国王、統治者、守護神たちは皆、プリトゥ王が取り出した後の残り物を自由に享受しています。ですから、賢明な人であれば誰でも、この偉大な王の栄光を聞かずにいられましょうか?どうか、プリトゥ王の規律や敬虔な活動をもっとお聞かせください、そして、私の目を開いてください」
そして、マイトレーヤ・マハルシは答えました、「プリトゥ王は、ガンジス川とヤムナー川に挟まれた土地に暮らしていました。王の考えでは、功徳(プンヤ)でさえも、この世の束縛でした。この世の束縛から己を解放するため、すなわち、これまで積んできた功徳が尽きるようにするために、プリトゥ王は、過去の善行(プラーラブダ)の結果、彼のところにめぐってきた王室の贅沢を享受しました。
プリトゥは、七つの大陸の全てを統治するただ一人の王でした。ヴェーダの学者とヴィシュヌ神の熱心な信奉者を除いては、誰も王の指令に反対することはできませんでした。こうした権限を持って、プリトゥ王は民を統治したのです。
かつてプリトゥ王は、盛大なサトラ・ヤーガを執り行う決断を下しました。全ての神々、ブラフマリシ、デーヴァリシ、ラージャリシたちが、このヤーガに参加しました。プリトゥ王は、彼らを歓迎し、栄誉を称えました。そして、この盛大な儀式の会場の皆々の中にあって、星々に囲まれた月のように輝いていました。
プリトゥ王は、美しい顔色をしていました。手足は長く、力強く、しっかりとしていました。目は蓮の花のような赤色です。鼻は美しい形をしています。魅力的で感じの良い顔つきは、見る者に喜びを与えています。均整のとれた美しい肩をして、歯並びも良かったので、プリトゥ王はハンサムに見えます。
胸は広く、腹部はほっそりとしていて、バニヤンの葉のようです。腹部にはしわが寄っていて、腰はしっかりしています。太腿は金色をしています。臍は深い渦巻のようでした。足は弓形をしていました。首は巻貝のようでした。髪の毛は厚く、巻き毛の黒髪でした。そして、高価で上質な衣類を身にまとっていました。
儀式の規則に従って、装飾品は身につけていませんでした。身にまとっていたのは、黒い鹿皮でした。
ハライェ・ナマハ