シュリーマド・バーガヴァタム 第268話
更新日 : 2025.5.4
カテゴリー : シュリーマド・バーガヴァタム
マハルシ・シュカは続けました。「パリクシットよ、このようにしてルシャバ・ヨーギーは様々なヨーガの苦行を行いました。
Avirata-parama-mahānandānubhava ātmani
Sarveṣāṁ bhūtānām ātma-bhūte bhagavati vāsudeva
ルシャバ・デーヴァは解放の主でした。彼はブラフマーナンダとして知られる究極の至福を経験しました。彼は非二元の知識を習得して、わずかな違いさえも存在しなくなりました。この非二元の知識を通して達成されるべき目標に達しました。意志に従って宇宙を飛ぶ能力、心を通してどこにでも旅する能力、姿を消す能力、他の生命体の体に入る能力、遠くの音を聞く能力といった超常的な力を得るだけでは完全に満足しませんでした。そのような力に関心がなく、それを取るに足らない享楽として放棄して、知識の道を歩みました。
これで第五巻の第五章は終わります。
第五巻 第六章です。
この章では、ルシャバ・デーヴァがこの肉体を離れたことが説明されています。
ルシャバ・デーヴァの物語と、息子たちに授けた伝授に熱心に耳を傾けていたパリクシット皇帝は、こう尋ねました。「おお、マハルシ・シュカよ! カルマ・ヨーガを通して、真我の知識が生じます。真我の知識によって、人はもはや成果を求めなくなり、束縛から解放されます。行為へと駆り立てる好き嫌いの感情さえも、カルマ・ヨーギーからは無くなります。
さらに、真我の至福に根ざしたヨーギーに、神の恩寵によって超常的な力が自然に生じます。そのような超常的な力は、霊的な無知、利己主義、好き嫌い、死への恐怖といった心の不純性を引き起こしません。グルデーヴァよ、これは真実ではないでしょうか?」
マハルシ・シュカは答えました。「王よ、あなたの仰ることは紛れもなく真実です。しかし、この世において、狡猾な詐欺師や残酷な人間を信頼する者はいません。同様に、マハトマの中には、本来移り気な心を決して信頼しない者もいます。
心が本来移り気であることを悟るなら、いかなる状況においても、探求者は心に関わるいかなる側面にも傾倒すべきではありません。心との交友は禁じられています。無数の苦行を行った後、心を信頼したために堕落した至高のヨーギーは数多くいます。
不貞な妻の本質を理解できない夫は、彼女の言葉を盲目的に信じて、騙されてしまいます。妻は夫の弱みにつけ込んで、愛人たちに夫を騙すように仕向けます。同様に、修行者が愚かにも自分の心を信頼すると、心は望ましくない欲望に道を譲って、怒りを受け入れ、欲望に続く怒りを受け入れます。そして徐々に、心は内なる六つの感情すべてを受け入れて、内なる六つの敵を励ますのです。
これとは対照的に、貞淑な女性は夫と家庭の両方に恩恵をもたらします。同様に、ヨーガの修行者は叡智によって実際役に立ちます。
Kāmo manyur mado lobhaḥ śoka-moha-bhayādayaḥ
Karma-bandhaś ca yan-mūlaḥ svīkuryāt ko nu tad budhaḥ
欲望、怒り、貪欲、惨め、悲しみ、心酔、執着、嫉妬、恐れ、その他の邪悪な性質は、純粋に心のためにあるのです。人が果報的な活動に完全に従事するのは、純粋に心のためです。このように、人を束縛するのは心です。それゆえ、賢明な人は決して心を信用しません!
ルシャバ・デーヴァは世界のすべての守護神にとって至高の宝石でした。彼は彼らの輝きを高めました。その時でさえ、自分の偉大さがこの世に明かされることのないよう、万全を期しました。鈍感な印象を与える服装、言葉遣い、行動によって、真の超越的な本質を隠していたのです。
彼はこの肉体を捨てることを決意しました。ヨーギーたちに肉体を放棄する方法を教えるため、彼は完全に自己中心性を捨てました。知性(ブッディ)を真我に融合させました。真我に完全に定着し、すなわち本来の姿に戻った彼は、世間のつきあいから完全に身を引いたのです。
その時でさえ、彼の肉体は幻想の力の影響によって苦しめられていました。自己中心性の残滓は依然としてありました。至高主の意志に従って、南インドのコーンカ、ヴェーンカ、カルナータカ、クタカの各州を放浪しました。クタカ・デーシャ(砂漠地帯)の森をさまよいながら、石を食べていました。髪を振り乱し、裸の姿で、狂人のように見えました。
強風のため、森の木が摩擦し合って、大規模な山火事が発生しました。この火は森全体を焼き尽くしました。ルシャバ・デーヴァは自らを守る能力を持っていたにもかかわらず、そうしようとはしませんでした。その代わり、火の中で自分の体を焼いてしまったのです。
ルシャバ・デーヴァーヤ・ナマハ
第269話に続く