LIVE AT THE LINCOLN CENTER

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LIVE AT THE LINCOLN CENTER

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CD1

  • 1. Pranavaswarupam – Raga Rushaketupriya
  • 2. Aghannashana – Raga Gaanamuruti
  • 3. Datta Yoga Raga Sagara

CD2

  • 1. Percussion solo
  • 2. Jaya Jaya
  • 3. Mangalam

アルバムと作品

スリスワミジのLive at the Lincoln Center は、2008年のアメリカツアーの珠玉の名作で、このスリ・スワミジサイトで紹介されている名作CDの中では、1993年のベルギーAntwerp-Live、及び1999年のBerlin-Liveと、2010年のマレーシアKL-Live及び,日本における5月のコンサートとの中間的時期にあたる興味深いCDです。

 

楽曲と音楽

DISC-1の 一曲目の「Pranava-Swarupam」は、Berlinライブ盤でも一曲目に演奏されています。

 おそらく意味合いは、「真言の御姿」のようなもので、演奏会の冒頭に、「宇宙の波動」が降臨して来たようなイメージをもっているのではないかと思われます。 同時に、「物事の始まりと道行き(旅)の始まりと無難を司る」Ganesha神への祈りも含まれているのでしょう。

 用いられるラーガ(旋法)「Raga Rushaketupriya」は、Melakarta(72の基本旋法)第27番の「Raga:Sarasangi(サラサーンギ)」のJanya-Raga(子ラーガ)「Rushya-Ketu-Priya(ルシャ・ケートゥ・プリヤ)」で、

 ドレミで言うと、長調の「ド、レ、ミ、ファ、ソ、シ、ド」といった、「ラ」を割愛する六音音階(Shadava/シャーダヴァ)の音階に基づくラーガ(旋法)です。

 実際は、上行音列で「レ」を飛ばすことも多く、五音階を基調に、絶妙に「レ」を加えるという感じと、ストレートな六音音階が織り交ぜられる興味深いラーガ(旋法)です。

 コンサートの冒頭としては、明るく親しみ易く、しかしひとつひねりがあるところも絶妙と言えましょう。

 しかし、科学療法音楽としては、上記しましたGanesh神にちなむことが重要なポイントです。その他に、「Raga:Rushya-Ketu-Priya」は「Nava-Graha(9惑星、実際は、7惑星に太陽と月の軌道の二つの交点、KetuとRahuを加えた概念)」の「Ketu」にもちなみます。
 コンサートが行われた日が、Nakshatra(白道:月の軌道を27分割した星宿)の「Shravana」にあたることも考慮していると思われます。

  通常、「Shrabana」や「Ketu」に関わるラーガ(旋法)は、「Raga:Shanmukha-Priya」が有名で、スリスワミジもしばしばこれを選択します。が、本CDでは、Ganesh神との関わりも考慮して「Raga:Rushya-Ketu-Priya」が選ばれたのでは無いかと思われます。

 このように、プログラムに於ける位置的な意味や聴衆への考慮だけでなく、その奥で深い考察と、直感的な判断によって演目が選択されているということです。

 リズムサイクル「Tala」は、軽快な「Adi-Talam(8拍子)」で演奏されます。
 Dr.L.Subramaniam氏としてはひかえめな、しかし,頑強な伝統的な基礎と長年のキャリア無くしては発想さえ出来ないだろうというさりげない超絶技巧も聴かれます。
 
 二曲目の「Aghan-Nashana」は、スリスワミジのKey-Boadのバンジョーか三味線の音色のような(インド楽器にはあまり無い)音色で始まるため、東アジア的な印象を与えます。

 スリスワミジとDr.L.Subramaniam氏のViolinによる比較的長い即興の掛け合いの後、リズムサイクルが刻まれ、太鼓Mridangamが加わった後は、スリスワミジご自身と、ミュージシャンたちの掛け合いの歌が披露(供養)されます。
 形式は二行連句の讃歌(献身歌)「Bhajan/」のようですが、掛け合いのスタイルの讃歌「Kirtan/キールターン」のようでもあります。
 
 用いられるラーガ(旋法)「Raga Gaanamuruti 」は、たいへん有名なラーガ(旋法)ですが、その音は日本人には馴染みがないものかも知れません。

 ドレミで言うと「ド、レ♭、ミ♭♭、ファ、ソ、ラ♭、シ、ド」で、「♭♭=ダブルフラット」は、「ミ♭♭」の場合、結局は「レ♮」のことでありますが、そう表記すると「ド、レ♭、レ♮、ファ」となり、「レが二つあるのにミが無い」となってしまうために、ダブルにしていると考えられます。北インドでは、「二つのレが在り、ミが無い」という解釈をしますので、南インド独特の解釈と言えましょう。 

 基音の「ド」から、「「ド、レ♭、レ♮」と半音が三つならび、基音の相方「属音のソ」の上も「ラ♭」の半音ですから、独特な響きを醸し出します。
 実際は、「ド、ミ♭♭(レ♮)、ファ、ソ、ラ♭、ド」の比較的聴き易い五音階を基調に、意表を突くような「シとレ♭」が登場するようなスタイルを主にしているようです。
 リズムサイクル「Tala」は、軽快な3拍子系の「Rupak-Talam」です。

 

 三曲目は、57:34にも及ぶ、組曲的な本格療法音楽「Raga Sagara」で、ラーガ(旋法)は、Raga:Kokilam、Raga:Naga-Nandini、Raga:Simhendra-Madhyamamが次々に繰り広げられます。

一番目の「Raga:Anagha」は、スリスワミジ創作のラーガ(旋法)のようで、有名な短調の五音階の「Raga:Hindolam(ド、ミ♭、ファ、ラ♭、シ♭)」から「シ♭」を割愛したような、珍しい「四音音階」です。
 よって、音階の前半(下の方})は、「HIndolam」を思わせ、東アジア的な雰囲気が感じられます。
 太鼓とTalaが加わってからは、7拍子の「Mishra-Chap」で展開します。

二番目の「Raga:Vasanti」は、たいへん有名な「春のラーガ」で、「Vasant」は春のことです。
 しかし、あまりに有名な為か? 「Vasant」の名を持つラーガ(旋法)には、「Vasant/Vasanth/Vasanta/Vasantha」の他に、本曲の「Vasanti (もしくはVasanthi)」とは異なるラーガ(旋法)です。
 「Vasant/Vasanth/Vasanta/Vasantha」は、いずれも同じ言葉の異なる表記ですが、実際は、この「Vasant/Vasanth/Vasanta/Vasantha」にも二種類全く異なる音階に基づく異なるラーガ(旋法)があり、混乱させられます。
 その他にも、「Raga:○○-Vasanta」「Raga:Vasanta-○○」という名のラーガ(旋法)は、良く知られているものだけでも20前後あります。

 本CD収録曲の「Raga:Vasanti」は、第27Melaの「Raga:Sara-Sangi」のJanya-Ragaで、ドレミで言うと、「ド、レ、ミ、ソ、ラ♭、ド」で、音階の前半(下の数音)は、日本の唱歌に多い「四七抜調」に似る、有名な「Raga:Mohanam」を感じさせ、ソより上の部分で「ラ♭」の不思議な感じが際立ちます。

 Talamは、速めで軽快な8拍子「Adi-Talam」で、古典音楽「Kriti」などの後半の展開部に多用される、幾分跳ねた感じ(インド人はインド英語でジャルキングと言います)で軽快さが強調されています。

 三番目の「Raga:Kokilam」は、第16Melaの「Raga:Chakravakam」のJanya(子)ラーガ(旋法)の「Raga:Kokila」と思われます。
 「Raga:Chakravakam」は、「ドレミ」で言うと「ド、レ♭、ミ、ファ、ソ、ラ、シ♭」ですが、「Raga:Kokila(m)」では、「ソを割愛」し、伴奏音が「ドとソ」ではなく「ドとファ」の為に、四度ズレて聴こえるもので、「ド」が明確に基音に聴こえ「レ♭」を用いるラーガ(旋法)のような不思議さ(奇妙さ?)は感じられないと思われます。

 Talamは、8拍子の「Adi-Talam」ですが、太鼓Mridangamのパターンは少し工夫してあるようで、独特なイメージを醸し出しています。

四番目の「Raga:Naga-Nandini」も、そこそこ有名なラーガ(旋法)で、第30番MelaのJanaka(親/代表)ラーガ(旋法)です。
 ドレミで言うと「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ#、シ、ド」で、前述のように、「ラが無いのも良くないからラ#」とする南インド古典音楽式な解釈ですが、実際の演奏面では、北インド古典音楽式に解釈する「ソ、シ♭、シ♮、ド」であり、「ソからシ♭」までの幅広い音程が特徴的です。

 当然、前半の「ドレミファ」の四音「Tetra-Chord(ギリシア語)=インドではPurab-Ang(直訳では:東部」が「長音階」なのに、後半のTetra-Chord「Uttar-Ang(北部)」が上記のようにかなり特殊なので、極端な二面性も表すことが出来ます。

 「Naga」は、ご存知の方も多いと思いますが、「蛇」のことです。インド神話では、神々と魔物の中間的な存在であり、神々に懲らしめられたり、従者になったり、人間を苦しめたり、崇められたりする存在で、ラーガ(旋法)の名前にも多く用いられ、有名なものでも10種前後あります。 

 実際、ラーガ(旋法)の名前は、ずばり神々にちなむものより、従者や聖者、Nagaのような中間的な存在が多く在ります。
 元来「ラーガ(旋法)」そのものが「精霊」とも考えられているので、「ラーガ=神」というよりは、二次的な存在に捕らえているのだろうと思われます。
 スリスワミジは、Sakala、Hrudeshwari、Shri-Matahaの神に捧げていると言われます。
 Talamは、再び跳ねる感じのAdi-Talamです。

五番目の「Raga:Simhendra-Madhyamam」もたいへん有名なラーガ(旋法)で、ビートルズの師匠としても世界的に有名な、故Ravi Shankar氏など北インドの演奏家も起用するラーガ(旋法)です。

 5Ragaのメドレー中最も長く全体の半分近い25分前後演奏されます。しかもその大半は、リズムサイクルを用いない前奏即興曲「Alapana」なので、本曲の真骨頂と言えるでしょう。

 スリスワミジは、このラーガ(旋法)で、Maha(Pancha)Bhuta(万物の五大元素)を説いていると言われます。
 Dr.L.Subramaniam氏も、その超絶技巧の奥義を余すことなく披露しています。

 第五番目の「Raga:Simhendra-Madhyamam」は、第57MelaのJanaka(親/代表)ラーガ(旋法)で、ドレミで言うと「ド、レ、ミ♭、ファ#、ソ、ラ♭、シ、ド」で、属音「ソ」の前後(上下)に三つ半音で並ぶ点と、「ミ♭からファ#とラ♭からシの距離感」が特徴的で、日本人には、かなり違和感(不思議な/神秘的な)があると思われます。
 Talamは、「重たく跳ねる」というべきか?独特な雰囲気のAdi-Talamです。

 DISC-2の一曲目は、前述しましたように、打楽器の独奏です。
南インド古典音楽のタイトルでは「Tani-Avartana(ターニ・アヴァルターナ)」でありましょう。意味合いは、「リズムサイクルの展開」のようなもので「Avarta」は、サイクルです。

 スリスワミジの海外公演によっては、両面太鼓Mridangamの他に「Gatham(素焼きの壷)」「Murchang(口琴)」などのリズム楽器も加わりますので、ライブによっては、「打楽器アンサンブル」のような賑やかさもあるのでしょう。

 本アルバムでは、太鼓の完全な独奏であるところが意外ですが、興味深いところです。
 Talamは、基本的なAdi-Talamです。

 Free-Jazzやプログレシヴロックなどのファンは、「変拍子」の方が妙技に思えるかも知れませんが、言わば「変拍子王国」とさえ言えるだろうインドの場合、むしろ基本的な「四拍子」の方が、「リズム技法」の奥義や技を見せるに適していると考えられています。 
「色形が凝った皿」よりも、「真円の白い(普通の)皿」の方が、料理人の技と盛りつけ、料理の味や色」が引き立つという感覚だろうと思われます。
 5月に日本でもその妙技を披露してくれるだろうRamesh氏の、「太鼓奏法言葉の披露」も含め、音楽ファンにも楽しめる一曲です。

 前述のように、おそらくコンサートの第二部の、場面展開の意味合いもあり。一部の後半の長く重厚な「療法音楽」で、充分に施術された聴衆に向けて、さらにリラックスしつつ、喜びを与え。同時に、インド科学音楽のもうひとつの大きな側面である「リズムサイクルの循環性」を伝えんとしたものと考えられます。

 DISC-2の二曲目と三曲目は、いずれも「喜び、至福」がテーマの曲のようです。二曲目の「Mangalam」はBerlinライブ盤でも最後に演奏されました。
 Yogaや瞑想に親しむ方々にはお馴染みの言葉でしょう「Mangalam」は、訳すと「平穏あれ」「吉祥あれ」という感じでしょうか。

二曲目の「Jaya Jaya(喜々)」で用いられるラーガ(旋法)「Raga:Shankara-Bharanam」は、正式には、「Dhira-Shankara-Bharanam」という名称の第29番MelaのJanaka(親/代表)ラーガ(旋法)で、大変有名でもの凄く多くの「Janya(子/派生)Raga」を持つものです。
 ドレミで言うと、長調の七音階なので、実に親しみ易いものがあると思われます。
 Talamは、軽快なAdi-Talam。

 三曲目の「Mangalam」で用いられるラーガ(旋法)「Raga:Sama」は、Berlinライブ盤と同様に、おそらく第28Mela:Raga:Harikambhoji のJanya(子)ラーガ(旋法)ので、「Raga:Shyama(シャーマー)」であろうと思われます。「Shyam(シャーム:墨/黒)」は、色黒に表現されるKrishna神を意味します。

 ドレミで言うと、上行音列が「ミとシを割愛した」「ド、レ、ファ、ソ、ラ、ド」 の五音音階で、下行音列は「シだけを割愛した」「ド、ラ、ソ、ファ、ミ、レ、ド」の六音音階。すなわち「Audava(五音)ーShadava(六音)」音階を用いるラーガ(旋法)です。

 Berlinライヴ盤では、歌も披露されましたが、本アルバムでは、即興的な器楽で、さわやかに締めくくられています。
 インド音楽では、珍しく、「後奏」が長く演奏されていますが、その日の会場と聴衆の気の何らかの必然があったのだろうと思われます。 

若林忠宏(アーユルヴェーダ音楽療法士)

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